君の彼氏になりたい�� ページ13
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照みたいに好きにまっすぐな人。10年気づかないなら直球勝負。Aの言葉を胸に刻み、俺はあいつとテレビ通話をすることにした。
「よっ」
「おお、どしたぁ？」
ふっかだ。ふっかとは楽しい時も苦しい時も一緒に過ごしてきた仲間だ。俺のAへの想いを知っている人達は何人かいるけれど、真っ先に話したいと思えた。
「あのさ、単刀直入に聞く」
「おお」
ふっかはコーラを口に含んだ。
「俺、真剣に恋愛してもいいかな……？」
次の瞬間ブッ、と吹き出しそうになる。間一髪で耐え、鼻から黒い液体が垂れるに留まった。ゲホッゴホッ、と咳をしながらその場から一旦離れ、タオルを持って戻ってきた。
「貴様何を突然……」
まだ器官に甘い液体が残っているらしく、ゴホッゴホッ、と咳をしている。色白の肌が赤く染まっている。
「ちょっとね、色々あった」
まさか自粛中にAと2人、ドライブに出かけていたなんて言えるはずはない。でもAの今の恋愛に対する気持ちを聞いて燃えない男もいないはずだ。
「そう……」
あまり詮索してこないのもふっかに話そうと思えた理由の1つだ。俺があえてぼかしたことを深掘りしない。
「俺的にはしてもいいけど条件つきってとこかな」
「条件つき？」
「よく分かってると思うけど、今回の件でファンを傷つけたんだからこれ以上刺激しないように自覚を持ってほしい」
さっきまで鼻からコーラを漏らしていたとは思えないくらい真面目だ。
「うん」
「あとは相手による。今回の女みたいに週刊誌に売るような子はリスクがデカい」
「そこはクリアできてるよ」
A自身週刊誌に傷ついてきた子だ。そっち方面に寝返ることはないし、ないと思いたい。
「でもお前忘れた頃に売られたんだろ？ 絶対に売らないとは言い切れないだろ？」
「……そうだけど。そうだけど、悪いように言わないで」
ふっかの言うことは一理ある。忘れた頃に取り沙汰されて今の状況が生まれた。人を信じすぎると酷い目に遭って後悔する。俺が今身を持って感じている。
「何年見てきたと思ってんの。Aはそんなことしない。人の痛みを自分の痛みに変えちゃう人がそんなことするわけない」
「へ？」
ふっかの目が見開かれた。
「照が恋愛したいのAなの……？」
言わなくても分かると思ったけど伝わっていなかったようだ。
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2023年11月29日 19時
