Beautiful Moon 3rd (ページ12)

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☆ ページ12

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彼と同じ空間で過ごすのが怖い。仕事ならまだしも、プライベートで2人きりになっても1人の時間を作りたいと思うようになった。彼の家に行くことは減り、私から彼を家に誘うことはなくなった。キスをされると嬉しかったのに彼から触れられたくない。私からすることはなくなった。それ以上の行為はいつも苦痛だった。気持ちいいのに、愛情を感じるのに私の愛はない。彼に求められても答えられない。

『ビックリするよ。不信感が爆発すると強い拒絶反応を示すようになるの』

「A……」

彼は週刊誌に自分のガセネタが載ることを事前に知っていた。でも教えてくれなかった。もしすぐにフォローしてくれていたら、どんなことが起こってもAしかいない、と言ってくれていたら……

『自分が違う人になったみたいだったの、何もかも壊れた後は』

報道から7ヶ月後、私は彼に別れを告げた。最初に彼の報道があったのは私の誕生日の翌日。私が関係を終わらせたのは彼の誕生日だった。

『思ってる以上に小西さんが好きだったから、トラウマになったんだろうね……』

報道があって4年、別れてから3年。私は今も1歩を踏み出せずにいる。結婚を前提に、と好意を寄せてくれる男性は何人もいたけど、全て丁重にお断りした。

『それでも運命とか信じてるんだから全く懲りてない。傷つきたくないのに』

「そっか……」

照は何でもない私の話にジッと耳を傾けていた。

「じゃあAは次に付き合うならどんな人がいいの？」

『どんな人、か……』

照の身の上話から始まった恋バナは気づけば私にも波及していた。

『そうだなぁ、照みたいに好きにまっすぐな人？』

「お、俺？」

切れ長の目が見開かれる。瞼の奥二重の線が顔を出した。

『うん。だって10年だよ？ 10年も好きでいられるってすごいじゃん』

逆に言えば10年も気づかない相手は照を苦しめ続けているのだけど。

『そういう人を幸せにしたいし、してくれそうって思うんだよね』

「そっ、か……」

照はなぜか複雑そうに眉間に皺を寄せた。私には想像もつかないけれど、見た目や世間のイメージとは裏腹にピュアで優しい照が惚れ込んだ女性は本当に罪で素敵な女性なんだと思う。

『照の恋、叶うといいね』

「……うん」

私の新しい恋はいつ始まるか分からない。だから身近な人の幸せを祈りたい。