Beautiful Moon 3rd (ページ11)

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トラウマ【君の彼氏になりたい】ページ11

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Aちゃんって現実主義っぽい、白馬の王子様なんてクソくらえって思ってそう、運命なんて信じてなさそう。

そんなの全部イメージに過ぎない。誰よりも甘い恋をしてみたい。白馬の王子様とまでは行かないまでも運命の人が現れるのを待っているし、運命を信じている。

『偉そうに語ったけど、本当は私も前に進まなきゃいけないんだよね』

「前に進む？」

『……私ね、あの時の出来事がトラウマなんだよ？』

照は顔をしかめた。

『今でも恋愛するのが怖い』

もう4年前になろうか。付き合っていた彼氏が彼とほぼ同世代の女優さんと熱愛報道を週刊誌に撮られた。

ちょうどその時、私は夏のドラマで主演が決まっていて撮影をしていた。その日の撮影が全て終わり、スマホを確認した時に付き合いを知る色んな人からの心配のLINEが届いていて事態を知った。ネットニュースを見た時の衝撃は今も忘れられない。

『心から信じてた人に裏切られたっていうのかな……』

仕事をしている時は仕事以外を考えずに済む。でもそれ以外の時間になるとどうしても彼の顔が思い浮かぶ。

優しい笑顔。王子と言われるほどにかっこよく、王子とは思えないほど面白いことが大好き。一回り年上で人生経験が豊富で、私が悩んでいるとすぐに気づいて話を聞いてくれる。甘やかしてくれる。

『そういう経験をするのが怖くて、新しい恋愛に進めない』

仕事終わりにスマホを見るまでは彼は私の白馬の王子様で運命の人なんだ、と信じてやまなかった。彼はそれなりの年齢で私には結婚願望があったから、彼と結婚し、家庭を築くのだと思っていた。

『自分からアプローチして、気持ちを伝えて……って工程を踏めなくなった』

報道自体はガセネタで、たまたま2人で話していた所を撮られ、手を繋いでいるように加工された写真が載せられたようだった。

「……Aにとって結構しんどい出来事だったんだ」

『しんどかった。恋愛に夢見ちゃいけないんだって思った』

それ自体は私も納得した。彼から謝罪があって俺達を信じてほしい、と頭を下げた。

『でももっとしんどかったのはね、』

私にとって本当につらく、苦しかったのは謝罪後の半年間だった。

『心から信じられなくなったことなんだよ……』

今でも思い出すと泣けてくる。私は尊敬している彼を拒絶するようになった。