Beautiful Moon 2nd (ページ10)

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☆ ページ10

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頭から離れないの、と照は野生味が増した見た目からは想像もできないほど弱々しく呟いた。とにかく中でゆっくり話を聞こう。ソファーに隣り合って座る。

「やだ、ここに座って」

いつの間に甘えんぼモードになったの？
照が太ももを叩く。どうやら向かい合って話したいようだ。普段は恥ずかしい一辺倒だけど、ソファーでそれをすると治りかけとはいえ足首が曲がって話を聞くどころではなくなる。

『それするなら椅子がいいかなぁ』

「じゃあ移動する」

何？何があったんだ？何が照の頭を支配しているの？
ダイニングテーブルの椅子に座った照はもう1度ポンポン、と太ももを叩いた。引き締まった太ももに跨る。照の両腕が私の背中を抱き、密着したいと言わんばかりにグッと引き寄せる。

『で、何があったの？』

「……今日のメンバーには過去に囚われてるって言われたし、自分でもそう思うんだけどね、」

今日はふっかや阿部ちゃん、なべしょと一緒だったはずだ。さっきから元気のない照はこう言った。

「Aが小西さんの髭かっこいいって……」

『へ？』

変な声が出た。

『私そんなこと言ったっけ？』

「覚えてないの？」

『ごめん、全く覚えてない』

ついうっかりそんな発言をしていたのだろうか。確かに今、小西さんは役のような髭が自力で蓄えられるかお試し中だけど。

『いつ言った？』

「……10年前」

なるほど、だから過去に囚われてる、なのか。当たり前に覚えていないはずだ。こういうのは言った私より聞いた照の方が覚えている。

「ごめん、俺めちゃくちゃ重いよね……」

力ない笑顔とは裏腹に腕の引き締めが強まった。驚いていないかと言われたら嘘になる。まさか10年前の発言が照に棘のように刺さっていたなんて思っていなかった。

遠回りこそしたものの10年以上私を想っていた照と、熱い想いに気づかず他の男性と付き合っていた私。そして今、私はその人と現場で関わっている。来年の春までは確実に繋がっている。

恋愛観が重く、常日頃大小の嫉妬に駆られる照にはとてもじゃないけど耐えられないはずだ。でも照をそういう風にしたのは私の責任だ。

『照』

ちらほらと髭が伸びた頬を両手で包む。

『照は照のままでいて？』

小西さんに縛られなくていい。

『私照が思うより照のこと愛してるよ？』

「ほんと？」

『本当』