Beautiful Moon 2nd (ページ45)

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☆ ページ45

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丈と仲良くなるのも目に見えていた。だから嫌だった。Aは昔から丈がかねてから応援しているプロ野球のチームが好きだ。

公言こそしていないもののよく球場に足を運ぶし、関西にいる時はドーム球場へ観戦しに行く。古いものから新しいものまでグッズも多く持っていてかなり熱狂的だ。

『だから丈くんとは打ち解けられそうだと思ってたの！』

「えーめっちゃ嬉しい。こんな美人さんもオリックス好きになってくれるんや……。オリックスも有名になったなぁ」

『私親が好きだからオリックスになる前から好きだよ？家族ぐるみで』

「マジか、俺より熱心やんけ！」

早い。距離を縮めるのが早すぎて苦しくなってきた。

……ドラマの設定と一緒じゃん。丈の役は俺の後輩ボディガードで懐に入るのが上手い愛されキャラ。里夏とも打ち解けて仲良くなる。無骨で気が利かない部分があり、里夏と対立しがちな北沢とは大違いだ。

「あとで連絡先交換しましょ！」

『いいよ！』

「よっしゃ、みっちーに自慢したろ」

憎めない。道枝もAに気があるのか？
もし火曜の夜10時を賑わすあのドラマに出ていたら俺は発狂していたかもしれない。

WEST.だけでなくなにわ男子の中にも共演者がいるAだから、瞬く間に全員と仲良くなる気がする。周りにいる男達全員が敵に見えてくる。年齢も地位も関係ない。

「あ、照先輩に許可取らな……」

でも俺照より先輩やからいらんか、と揶揄うように言うからますますムカつく。事務所の入所は丈が早く年下だけど先輩。あべこべな関係もますます憂鬱にさせる。

『え？丈くんが照より先輩？』

「俺歳下やしデビューも遅かったけど照より入所早いねん」

『なるほど……』

Aも俺より芸歴が長いから同い歳だけど先輩にあたるし、先輩同士のやり取りに口出しはできない。

「岩本くん、随分苦労してるね」

溝端さんがワイワイキャッキャ会話に花を咲かす2人を眺めながら俺の肩を叩いた。

「でも惚れた弱みなんですよ。高校生の時からずっと好きで20代後半でやっと叶って」

「おお」

「自分自身他より嫉妬深い自覚あるし、溝端さんがAの初めてのキスシーンの相手なのも悔しいけど、人懐っこいとこを奪ったら俺の好きな部分が消える気がして」

撮影中、幾度振り回され悩まされるのだろう。そんなとこが大嫌いで大好きだ。