Beautiful Moon 2nd (ページ44)

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☆ ページ44

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「マジ！？」

淳平くんこと溝端さんも目を見開いて驚いている。そりゃそうだ。ドラマの共演をきっかけに交際する芸能人はいるけど、まだ撮影も始まっていない段階で交際しているなんてほとんどない。

「待って、2人とも距離の縮め方バカなんです？」

ドラマのためにほんまに付き合うってアホすぎやろ。丈は辛辣だ。

『なんか誤解されてるけど岩本くんとは17年前からの知り合いだし、付き合ったのは2年前だよ？ドラマのために付き合ったんじゃないよ？』

Aの機嫌も直っていない。Aからの苗字呼びは切り傷のような小さな傷をつける。

「17年？ 2人って今何歳？」

『30です』

「13歳から付き合ってんの！？」

『だから付き合ったのは2年前だってば……』

Aは溝端さんと丈に質問攻めにあってタジタジだ。丈はシレッとタメ口で話して距離を縮めようとしているし、どうやら俺は置いてけぼりだ。

『照のバカ。こうなるの分かってたのに。丈くん呼びにしてやる』

「えっ！ダメ！やだ！」

『ダメじゃないし嫌じゃない。約束破ったらもれなく藤原さんを丈くん呼びにするって言った』

昨夜のやり取りが思い出される。寝る前、撮影期間中に先に約束を破った方がペナルティを受けることに決めていた。

もし俺が破ったらAは藤原丈一郎を丈くん呼びにする。ひょんなことから2人の共通点が発見されて大いに盛り上がっても口を出さない。嫉妬はしてもいいからとにかく我慢する。それがAとの約束だった。

「それは、そうだけど……！」

当のAは俺が女性キャストと仲良くなろうと嫉妬をしない。そもそも約束を破る人じゃない。でも仮に先に破ったら……、アブノーマルなプレイを試すことになっていた。

本当に別れるんじゃないか、と思うくらい引かれた。でも俺以外の男と親しくするのとそのプレイをさせられるのは天秤にかけて同じ重さだった。俺が負けたからAは心底ほっとしているに違いない。

『丈くんとバファローズの話で盛り上がるし、安達さんのこと語りまくるし』

早速始まったペナルティに胸を抉られるような痛みが走った。

「え、まさかAさんておりひめ？」

『おりひめって柄じゃないけどバファローズは大好きなの。暇があったら関東圏の球場で野球観てるかなぁ』

「やばぁ！仲間がおった！」