Beautiful Moon 2nd (ページ41)

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☆ ページ41

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「なんで、そんなこと言うの……？」

切れ長の目からポロポロ溢れ出す涙。男らしさ全開の姿からは程遠い。

「えっ、照？」

まさか泣くとは思わなかった。焦る。本気で焦っている。俺にとってはちょっとしたからかいのつもりだった。

『ただいまー……』

そしてタイミング悪くAが帰って来る。抜き足差し足忍び足が上手い女だ。帰宅していたなんてこれっぽっちも気づかなかった。

照が泣いているのに驚いたAは慌てて照の隣に座り、俺の目を気にすることなく大きな体を抱き締めて背中を摩った。

『照？どうしたの？』

「……っ、ふっかが……」

焦る俺と号泣の照を見て戸惑わないわけはないし、戦犯も当然のようにバレる。俺の名前が出ると一瞬にして雰囲気が変わった。

『深澤？』

威圧感が半端ない。顔は怒っているように見えないのに頭から鬼の角が2本生えている。俺が完全に悪いから弁解の余地もない。

「いや、あの……、スミマセンデシタ……」

照はAに抱き着いてズビズビ鼻を啜り、小さくなって肩を震わせる。“ガチ”の目をしているAにビビった俺は2人の前でスライディング気味の土下座をした。さっきまで調子よく弄っていたくせに物凄くダサい。

「からかいすぎました……」

『バカだねえ、本当に』

はあ、と深いため息を着いたAは冷めた目で俺を睨み、よしよし、と照の頭を撫でた。ぐうの音も出ない。

『聞こえてたよ？お2人さんが話してたの。いつ入ろうかなぁってタイミング計らってたらふっかが余計なこと言うし、照がどんどん沈んでいったの気づいてなかった？』

「気づいてました……」

『……ないわ、ありえない』

再び大きく深いため息が部屋中を覆った。

『私も悪くないかと言われたら悪いんだけどさ、ふっかって昔から照の気持ちとかよく聞いてたんじゃないの？』

「聞いてました……」

『それとも、ふっかには私が照と友達に戻りたいように見えてた？』

そこでハッとする。呆れていたAが一瞬悲しそうに眉を下げた。

「み、見えてない！マジで！本気！」

照のように泣きはしないけれど、俺は照だけでなくAまで悲しませていた。いつまでも長く続いてほしい、幸せであってほしいと願う後輩カップルを傷つけた。

『じゃあ唆さないでよ……。私友達に戻ろうなんてこれっぽっちも思ってないよ？』