Beautiful Moon 2nd (ページ40)

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本当に好きだからページ40

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雑誌や宣材写真で見られる色っぽい表情や作り笑顔もいいけれど、女性が1番輝くのは好きな男の前で見せる照れを含みながらも自然に弾ける笑顔だと思う。

「あの野郎、可愛いな……」

照の家にお邪魔して久しぶりに語らう。仕事のこと、プライベートなこと。そして恋愛。思わず零れた独り言は照の逆鱗に触れてしまったらしい。

「ねえ、やめてよ」

「拗ねることないだろーよ」

一瞬にして拗ね拗ねくんモードに変身した照は不満げにスマホを閉じた。これ見てほしい、と見せられたのは照の隠し撮りに気づいたらしいAが何やってんの、と言わんばかりに笑顔を見せる写真だった。

「つーかお前が見てって言うから見たのになんで拗ねられるんだ！」

「見てほしかっただけだから！ふっかの感想とか求めてないから！」

とか言って、何も言わなければそれはそれで面倒なことになる。“可愛い”は迂闊だったけれど、感想は無理やりにでも絞り出さなければならない。

「その感じだとお前ら上手くいってんのね」

「上手くいきすぎて怖いくらいだよ」

岩本照はあまりにも難しく、あまりにも面倒臭くていじらしい男だ。

「にしてもなぁ、2年も続くなんて思わなかったわ」

「は？」

またもや照は不機嫌そうに俺を睨みつける。

「意味分かんない」

「そのまんまだろ」

正直俺は照とAが2年も続くなんて思っていなかった。2人は親友歴が長い。フィーリングが合うからこそ仲良くいられるのだけど、親友歴が長いことが必ずしも恋愛に上手く作用するとは限らない。

「いつか別れるんじゃねえかって心のどっかで思ってたのよ、申し訳ないけど」

理想と現実は違う。どう頑張ろうが、付き合うと親友の時に見えなかった嫌な部分が可視化する。

やっぱり付き合わなければよかった、親友のままの方が幸せだった、と後悔して別れの原因にもなる。俺自身友達は多いからそういうカップルを何組も見てきた。

「やっぱり友達に戻りたい、的な。あるじゃん、たまに」

「あるけど……」

ソファの上ででっかい体を小さく体育座りにまとめて泣きそうな顔をしながら俺を睨む。普段なら強面に凄まれると怖いけれど、今は睨まれてもさして怖くはない。

「あとAって結婚するなら俺がいいって言ってくれてたし？」

ふとその顔を見る。照はまつ毛を濡らしていた。