Beautiful Moon 2nd (ページ37)

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☆ ページ37

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本当に泣きたいのは照だ。照なんだから私が泣いちゃダメだ。

「顔も知らない誰かに罵倒されるよりも、罵倒されて1番大切な人を泣くほど落ち込ませてるのが1番辛い」

そう思うほどに溢れるものを止められなくなった。ぽたぽたと雨のように流れる。

「俺見返すから」

照の声に力がこもる。

「俺らが見てないと思って好き勝手言ってるやつらをギャフンと言わせるくらい、Aの隣に立っても見劣りしない役者になるし男になる」

俺負けず嫌いだから、と照は顔を見なくても分かるくらいの照れ笑いを零した。

強いね、強いよ。強くなったよ。ピーターパンの初日に緊張で手と声が震えていた照が、タイミング悪く声変わりが始まって思うように歌えなくなって泣いていたあの子が、あの時の私のように抱き締めている。

“ひかるなら大丈夫。自信持ってネバーランドに行こう！”

“うん……！”

「だから守らせてよ、Aのこと」

『……うん』

「強がりも弱虫も、全部受け止めさせて？」

私は照を好きになって本当に幸せだと思った。

『うん』

強い私でありたい私が時に弱っても救い出してくれる人。

「……でも、Aが一緒に落ち込んでくれたから救われた。俺1人じゃ耐えられなかった」

強くありたい私を強くさせてくれる人。

「今日はいっぱいギューして寝ようね。俺もAも落ち込んでるから」

可愛くてかっこよくて、でもやっぱり可愛い何年経っても変わらない人。

「悪口言われたのは傷ついたけどAに電話無視され続けたのはもっとしんどかったし……」

『それはごめん……』

「いいよ。最後はちゃんと出てくれたしハグで許す。こんなに狭いベッドで2人で寝れるし、結果オーライじゃん」

ふとベッドを一瞥する。普段クイーンベッドで寝ている私達にとって、ダブルベッドは意外と幅が狭い。その分密着しなければならない。

『……ツインにするべきだったかな』

「ねーえ！なんでそんなこと言うの！」

照はギューッと腕の力を強めながら、私を巻き添えにして寝転んだ。腕を離し、無理やり馬乗りになって私を見下ろす。

「目、真っ赤っか。こんなになるまで泣いて」

壊れ物を扱うようにそーっと頬を撫でられる。

『照だって赤いよ？』

「バレた」

少しカサついた頬を撫でる。どんな心の傷も困難も、2人なら乗り越えられる。