Beautiful Moon 2nd (ページ36)

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☆ ページ36

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照は自信たっぷりに言い切った。

「何に悩んでるか分かんないけど1人で抱えようとしないで？たまには俺もAの力になりたい」

たまには、なんて言わないでほしい。照の存在はいつだって力になっている。

私が手に持っていた鍵を凝視した照はそのままフロントへ進み、701号室追加で1人宿泊できますか、と受付のホテルマンに尋ねた。私の部屋はダブルルームだ。大人2人が泊まっても差し障りはない。あっさり許可が降り、予約は変更された。

「で、何があって落ち込んでるの？」

部屋に戻り、2人でベッドサイドに座る。

「相当なことがなかったらAが塞ぎ込むことはない」

照がそう言うなら私にとってあの投稿は精神的に傷つくものだった。

照から背中を向ける。相談がしやすいような雰囲気を作ってくれるけれど言うべきではない。伝えてしまえば照が悲しむのは目に見えている。

『……言えない、言いたくない』

むしろ私以上に傷つく。自らがSNS上で誹謗中傷を受けていることも、今でも過去の誤ちの禊をしている中で重ねた努力を揶揄して嘲笑する顔も知らない誰かがいることも、照に知られたくない。

『私が耐えたら、それで終わる話だから』

そう、私が耐えたらいい。いつか必ずほとぼりが冷めるからそれまで待てばいい。照に知られずこのまま……

「A？」

ギュッとズボンを握りしめた時、背中を温めるように照が重なった。とても安心する体温だった。

「……ごめん、本当はAが落ち込んでる原因も知ってる」

『え？』

「川口さんがうちのマネージャーに通してくださったみたい。ネット上で俺が酷いこと言われてるから、もし必要なら情報開示してもらった方がいいって」

そのせいでAが深く傷ついてるって話も聞いた、と照は淡々と語った。どこまで手を組んでいるのだろう。

「そこら辺は俺が判断しなきゃいけないから聞きたくないと思うけど話さざるを得なかった、申し訳ないって謝られたよ」

本当聞きたくなかった、と照は声のトーンを下げた。

「……確かにね、傷つくよ？別に悪いことしたわけじゃないのに一方的に罵倒されてさ、傷つかない方がおかしいと思う」

でもね、と抱きしめる力が強まる。

「俺は俺のことでAが悲しんでることが悲しい」

今まで我慢してきたものが照の着ているスウェットに落ちた。