Beautiful Moon 2nd (ページ4)

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☆ ページ4

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聖也に時間を貰い、Aには病院に行ってもらった。そうでもしないと心配で俺がどうにかなりそうだった。外のベンチに男2人が彼女と友達を待っている。

「本当困ったちゃんだな、照の彼女は」

待っている間、男だけの時間が過ぎる。

「つーか、どういう状況で捻挫したわけ？」

「キャストとぶつかってバランス崩したってとこかな。ほら、照がずっと根に持ってる人いるじゃん」

「俺が根に持ってる……、あっ」

「分かった？」

ぼんやりと浮かぶ1人の顔。付き合った今でも絡んでほしくない、共演すると聞いた時に胸がザワついて苦しくさせた男だ。

「わざとじゃないよ？小西さん、Aを守ろうとしてた」

聖也が言うにはアンサンブルキャストの1人が舞台で使うセットの扱いを練習をしている時、誤ってAのいる辺りに倒したらしい。

いつものAなら上手く逃げられるのだけど、たまたま集中していて倒れていることに気づいていなかった。それを見た小西さんが危険を察知し、体当たりで守った。大怪我こそ免れたもののAはバランスを崩し、足首を捻った。責めようにも責められない。

「結果的に怪我させて相当落ち込んでるから責めないでやって？」

「責めないよ」

いくら嫉妬がヤバい俺だってそこまで小さくない。

「多分倒れてきた装置ってそこそこデカかったんでしょ？」

「デカかった。小西さん気づかなかったら捻挫じゃ済まなかったかも」

「そうなったら感謝するしかないよ」

最悪命に関わっていたかもしれない。

「ちなみにどんな感じで守ってた？」

「後ろから思いっきりぶつかって抱き締めてた、かな？前に転けないように」

……嫉妬はするけど。事故とはいえ若い元カノの体温感じちゃってるのは腑に落ちないけど。

感謝するけど複雑。モヤモヤと戦っていると夜間診療専用の出入口からAが現れた。

『捻挫だった』

白いレジ袋の中にはきっと湿布が入っている。歩き方を見るに痛みはあるのだろう。

『とりあえず10日間は絶対安静だってさ』

「そっか」

そうとなればやっぱり歩かせられない。再びAの背後に回って背中と膝裏を支えてふんわりと持ち上げる。

『歩けるって……』

「うるさい」

『うるさくない』

「黙ってお姫様してて」

これは来るべき日に向けての練習でもあるし、本当に心配で仕方がないから。