Beautiful Moon 2nd (ページ30)

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☆ ページ30

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「で、最近照とどうなん？」

コーヒーブレイクと言いながら互いにちゃんとしたコーヒーは飲んでいない。言い出しっぺはなぜか水を選んでいる。

『どう、ってどういうこと？』

「あるやん、色々。俺照からは惚気聞くけど藤井からは聞いてへんし」

最近といえば徐々に次のドラマの打ち合わせが始まり、照と顔を合わせる時間が増えている。今日もまた衣装合わせの後に新しいビジュアルの撮影があるらしく、1日中一緒にいると言っても過言ではない。

『そうねえ……』

「俺にしか言えへん照の直してほしいとことかさ、ないん？」

『それはないね。あったら本人に言っちゃうし』

「照も言うてたわ」

お互いああしてほしい、こうしてほしいは直接伝えている。人づてに聞かされるそれはやはりいい気持ちがしないし、言いづらいことを伝え合ってこそ信頼関係が生まれると思う。

『何、重岡って人から悪口聞き出そうとしてんの？性格悪くない？』

「なんでそうなんねん！悪ないわ！」

「俺からしたら2人とも性格が悪いよ」

2人だけだった空間に低く温もった声が割り入る。

「何、2人で白昼堂々浮気？」

浮気不倫はドラマだけにしてよ、と眉を下げながら照は私の隣に座った。どうやら照も現場に着いていたようだ。

「飲み物買おうと思ったら彼女と親友が2人きりで話してた時の俺の気持ち分かる？」

嫉妬深い照のスイッチを押してしまった。ヤバいぞ、と重岡と目配せをする。

『ぐるるる……？』

後ろめたいことなど1つもないのにヤバいことだけは理解できる。口走ったそれは気持ちでも何でもない。ただの威嚇だ。重岡が顔を背け、小さく肩を震わせている。

「……ねーえ、俺のことワンコだと思ってる？」

一応怒りの矛先は私に向いた。よかった、また喧嘩になるところだった。

『否定はできない』

照は怒るよりもいじけた。全肯定でワンコだと思っている。

『実家で飼ってたシベリアンハスキーのとろろに似てるんだよねえ、照って』

「その話詳しく聞かせえ」

重岡が身を乗り出す。お互いどうにかこうにか気を逸らそうと必死だ。

『シベリアンハスキーって見た目は厳ついんだけど、めちゃくちゃ穏やかで人懐っこいの。おっきい体で飛びついてぺろぺろ顔舐められてたし、毎日モフモフして可愛がってた』

「はええ、まんま照やん！」