Beautiful Moon 2nd (ページ27)

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☆ ページ27

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8分ほど互いに無の時間を過ごす。言葉はいらない。とにかく癒されてくれたらいい。

「もう1回ロウリュしよっか？」

『うん』

「今度はAがやってみて？」

柄杓にアロマ水を汲み、石の上に慎重にかける。匂いだけでなくジュワーッと蒸発の音を耳からも楽しめるから、五感を刺激されてさらに癒される。

『ハマりそう……』

「まだまだここからだよ？」

サウナの醍醐味はここからだ。ちらりと防水機能付きの腕時計を確認すると10分が経とうとしていた。

「水風呂行こう」

『ああ、それもあるんだった』

「これがめちゃくちゃ気持ちいいからAにもやってほしい」

ただ発汗すればいいってものではないのが分かっていてもAは水風呂の前で躊躇っている。最初はそうだ。慣れていたらすぐにでも浴びたいけど慣れていなかったら抵抗感がある。風呂桶に水を貯める。

「背中にかけるよ？」

『お願いします』

そーっと背中にかけるとAはギューッと体を絞めた。

『ひゃっ！』

「あはっ！」

その調子で2度目の水をかける。ついでに自分の体の汗も流す。頭から被ると本当に気持ちがいい。

「一緒に入ろうよ」

ほら、と手を出せば素直に繋いでくれる。一緒に行けば怖くない。ゆっくりとAに合わせて水風呂に足をつける。

『うわあっ』

「大丈夫だよー、案外すぐ慣れるからね」

『うううっ……』

一緒に屈んで一緒に肩まで浸かる。

「最初は1分でも充分だから、とりあえず1分ね？」

『うん』

急速な冷えに最初は震えていたAも次第に慣れてきたらしい。

『気持ちよくなってきたかも』

「おっ」

無理はしていないだろうか。顔色を伺ってみる。血の気が引いている気配はない。

「1分過ぎたよ。大丈夫？」

『もうちょい行ける』

強ばっていた表情も徐々に和らぐ。冷たさに体が慣れたようだ。まだまだ入りたいけれど、1回目はこんなもんでいいだろう。

「次は外気浴ね？」

『はーい』

再び手を繋いでゆっくり立ち上がる。ふらつきや立ちくらみはなかったから少し安心だ。

お互い水滴の拭き合いっこをしてサウナポンチョを羽織る。このサウナは全ての個室で外気浴ができる設備があるらしい。外気浴チェアに座り、脚を伸ばす。今日は暖かみをしっかり感じられる。空は綺麗に晴れて外気浴日和だ。Aの晴れ女力が勝ってくれた。