Beautiful Moon 2nd (ページ22)

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久しぶりに2クール連続でドラマだな……
パンツスーツに身を包みながら思う。しかも相手役は照。私は照演じるボディガードに守られる弁護士を演じるらしい。

基本的にどんな役も積極的に挑戦したい私は人間ドラマからミステリー、ラブストーリーまで色々挑戦してきた。でもラブコメの作品にはあまり関わっていない。固い作風の作品に多く携わったからこそ、今回の話を頂いた時にやってみたいと思った。

まさか照が主演だったとは思わなかったけれど。

『ああー……』

今日はPR映像を撮る。これから3ヶ月間、ほぼ毎日照と一緒に過ごす。プライベートも仕事も関係なく1日中ずっと。

「あら、いつものAらしくないじゃない？」

1人ソワソワしていると、1人の女性が紙カップのドリンクを持って話しかけてきた。彼女は私のチーフマネージャーの川口さんだ。

「これ飲んで落ち着きな？いつものやつ買ってきたから」

オーディションでピーターパンを掴み取った小学5年の頃からずっとお世話になっている。他にも何人かマネージャーがいるけれど、川口さんにしか話せないことは沢山ある。

『ありがとうございます』

紙カップを両手に包めばほんのり温かい。これはトールサイズライトホットの抹茶ラテ、抹茶パウダー増量でシロップ抜きのソイミルク変更だ。どうしても飲みたくて川口さんに買ってきてもらった。

『美味しい……』

口に広がる抹茶の渋みと豆乳のまろやかさ。私が猫舌だからぬるめを、抹茶が大好きだから元々入っているシロップを抜いて抹茶を増やして注文してくれる。カスタムが多くて面倒だろうにありがたい。

「そうだ、さっき岩本くんに会ったの」

川口さんは思い出したように言った。

「彼気合い入ってたよー。私に会った瞬間、こんな風にしてね、」

3ヶ月間よろしくお願いします、と私の前に立ち、綺麗な直角90°の礼をした。

『うふっ！』

容易に想像できた。

「だから返しといたよ。3ヶ月だけか、永遠だろ！って」

これもまた簡単に想像できた。多分照も変に緊張しているのだと思う。

彼の事務所の昨今のアレコレでこのドラマにも多少影響があったらしい。主演を照ではなく私にする、もしくは照ではない誰かに演じてもらうなど話が出ていたと聞く。自分のために駆け回ってくれたスタッフさんへの感謝が彼の気合いに繋がったのだろう。