Beautiful Moon 2nd (ページ20)

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☆ ページ20

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隠れていたはずのAは気づけば背中から出てきて楽しそうに話していた。2人の独特の“間”に着いていけずに悶々としていると、彼の目が俺に移った。

「君が噂のヒカルくんだよね」

「初めまして、岩本です」

長年の積み重ねで愛想笑いが上手くできるようになった。だから彼にもにこやかに、できるだけ爽やかに和やかに接する。本当は大人な態度なんてどうしても取れないし、取りたくもない。

「Aから話はよく聞いてるよ」

ヤキモチ妬きで子供な所が沢山あるけれど、無邪気な笑顔と真剣な表情のギャップが激しい可愛い彼氏だって。彼は確かにそう言った。

「え？」

「だからどんな可愛い系を連れてくるかと思ってたんだけど、男らしい男だったからビックリしたよ」

爽やかな笑顔の裏で、彼の目には寂しさが滲んでいる。

「そっかあ……、君が、Aと……」

もしかしたらこの人は俺と同類なのかもしれない。

2人が何がどうなってお付き合いを始めたのか知らないけれど、俺が彼の話を聞かされて嫉妬するように、彼も俺の話を聞かされてヤキモチを妬いていたのではないか。

もちろんAに悪気はない。楽しい話を楽しいままに共有したいだけだ。そこに性別や年齢、付き合っているかいないかは関係がない。だからAは彼に俺の話をするし、俺に彼の話をする。

さっきまでの嫌悪感はなくなり、俺は仲間を見つけたかのような気持ちになっていた。

「照はAと付き合って楽しい？」

彼は、小西さんは胸の内を探る。

「もちろんです！」

俺は胸を張った。

「Aさんのおかげで日々幸せです」

「そっか。相思相愛ってやつだね」

Aも大好きらしいし、とからかうように小西さんは視線をAに移した。Aは恥ずかしそうに再び俺の後ろに隠れる。

「Aって俺にとって妹みたいに可愛い後輩で、色々あったけど楽しい時も苦しい時も見守ってきた大切な後輩なの。だから照と言えど泣かせたら許さないよ？」

「泣かせません。あ、でも」

これだけは許してほしい。

「嬉しくて涙が溢れた時は許されませんか？」

小西さんは顎に手を置いてうーん、と首を傾げる。

「許す！」

クールな見た目からは想像できなかった。俺は顔を見るのも億劫なほど拒絶していた小西さんをすんなりと受け入れ、むしろ尊敬の念を抱いていた。