Beautiful Moon 2nd (ページ16)

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☆ ページ16

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俺は助手席に乗った。Aは運転にとても慣れている。大学進学が決まってすぐに自動車学校に通い始めたらしく、19歳の誕生日が来る前にはピカピカの免許証を持っていた。

『急ブレーキかける時あるかもしれないけど、その時は許してね？』

「もちろん」

Aは俺よりも誕生日が遅い。1ヶ月半くらいしか変わらないけれど1ヶ月半も違う。でも俺よりも先に大人になっていく。酒は飲めないし、タバコも吸わない。作品で必要になった時は水蒸気タバコを吸うくらいでクランクアップを迎えたらすぐにやめる。

『じゃっ、行きましょう』

ちょっとやそっとじゃ怒らない。常に落ち着いている。でも道を外した仲間がいれば真剣に話を聞くし、説得も試みる。そして誰に対しても優しいしよく見ている。

「うん」

A自身は嫌われる覚悟で厳しいことを言ってみても、根っこの優しさを皆が理解しているから誰からも慕われる。そりゃ妬まれることもあるだろうけど先輩には頼られ、後輩には尊敬される。同世代からも一目置かれる。俺はAに憧れていた。

SnowManのリーダーとなってからも理想のリーダー像はAだ。

『こっちから誘ったし眠かったら寝てていいからね？』

Aはお茶目にウインクした。車はゆっくりと車道に入った。今日だって俺が落ち込んでいるのを察して誘ってくれたのだろう。

「子供が何かと勘違いしてるでしょ？」

『否めない』

「ねーえ……」

こういう所が子供っぽいんだろうな。そりゃ振り向いてもらえるはずもない。

『あはっ！』

Aは楽しそうに笑った。

『とりあえずコンビニで何か買おっか？』

「うん……」

『じゃあここで一旦休憩しまーす』

そう言ってAは左手にあるコンビニに車を停めた。シートベルトを外し、スマホを開く。

『何が欲しい？チョコは絶対でしょ？』

「1人で行くつもりなの？」

『そうだけど』

何かおかしいことでも言ったか、と言わんばかりにキョトンとする。

「危ないでしょ。女の子が1人でコンビニは」

『まあそうだけど……』

でもさあ、とAはどこか影を含んだ笑みを零した。

「照も危ないでしょ」

『俺？』

俺は男だから、と言い返そうとして遮られた。

『今あなた週刊誌に追っかけられてる身よ？』

冷や水をかけられた感覚。俺は自分の状況を忘れかけていた。