Beautiful Moon 2nd (ページ14)

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君の彼氏になりたい① ページ14

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家の中で1人、鬱々と過ごす時間はただでさえ落ち込んだ気持ちをさらにどん底に落とした。

俺のJr時代の遊びがデビューしてこれから、という時に世に放たれた。まるで狙っていたかのようなタイミングでファンの中には庇ってくれる人も多くいたけれど、結局悪いのは俺だ。デビュー前だったとはいえいい大人が未成年の嘘を見抜けないなんて情けない。

「はあ……」

部屋の中にため息がやけに響く。SNSもテレビも見れない。何も悪くないメンバーが俺のせいで頭を下げている姿を見た時、胸が抉られそうで苦しくて耐えられなかった。

どうせ自分の名前で検索したところで罵詈雑言で溢れている。何もやる気が起きない。そんな時にスマホから着信音が鳴った。俺にとって特別な着信音だった。

「……もしもし」

『おー、ばっちり凹んでるねえ』

高校1年の時からずっと叶わない片想いをしている。俺はAの着信音だけは他の人と区別している。高校3年の時、Aがよく聴いていて俺もハマった曲だ。

「なんで楽しそうなの……」

『いやぁ？照にも元気ない時があるんだなぁって』

「色んな人に迷惑も心配もかけてるんだよ？メンバーには頭下げさせてるのに俺は何もできないし……、落ち込むに決まってる……」

初っ端から愚痴を零してしまった俺を咎めることもなく、Aは静かに聞いてくれた。

「体は元気だけど動けないし、家で筋トレしてても全然楽しくない。辛い」

結論俺は寂しいのだと思う。メンバーとは連絡を取り合っている。先輩や同年代、後輩とも多少のやり取りはある。事務所を超えて仲のいい俳優さん達、SASUKEで出会った兄貴達との関わりも途絶えていない。

でも直接会うことを制限されている。自分の状況的にも、世の中の動き的にも外に出るのはアウトだ。散歩やランニング、買い物くらいしか許されない。

「なんというか、苦しい」

メンバーにも言えなかった本音が零れた。

「人に会いたい」

『じゃあ今から会う？』

「へ？」

変な声が出た。あまりにも突飛な提案だった。

『飲み会はできないよ？店も開いてないし。でも少しだけなら会ってよくない？』

「でも俺……」

『謹慎してるわけじゃないんでしょ？』

言い訳をする前に切り出されていた。

『今夜に出歩いてる人ほとんどいないし気分転換にドライブしようよ』