【QK】ミモザの花言葉 vol.3【短編集】

お昼寝 tm × fkr ページ7

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とむside

斜め前の席で、さらさらな黒髪の頭がかくんと一つ前に落ちる。一瞬でハッと目を覚まして、またかくん。

私が今人間観察の対象にしているのは、動画編集班のトップである、福良さん。なんだか今日はとても眠そう。

あ、席を立ちましたね。眠気覚ましでもするのかな？と思いきや、すぐ近くのソファに横たわってしまいました。お仕事されるのは流石に諦めたのでしょうか。ただ、律儀にも伊達メガネはかけたまま。

寝ている間に可愛らしいお顔に跡がついてしまいそうだ、と思って取ってあげようと立ち上がると、同じように立ち上がった何人かの先輩と目が合う。そして、無言でじゃんけんが始まった。

参加者は、河村さん、伊沢さん、乾さん、私。あら、全員眼鏡ユーザーですね。やっぱり気になることは同じですか。

「やっ…！」

しー、ですね。1発で勝てて思わず声が出てしまいました。負けてしまった3人は、私にジト目を向けながら椅子に座り直し、仕事を再開。ちらちらこっちを見ているの、バレてますからね。

ついでだからとパソコンも持って、福良さんが眠るソファの隣の、1人用のソファへ。気分転換、気分転換。

「ちょっと失礼しますよ…。」

そーっと福良さんから眼鏡を外して、目の前のローテーブルへ。若干唸られたけど、起こしはせずにミッションコンプリート。ついでにソファの背にかかっていたブランケットを福良さんにかけた。

流れで私も編集を始める。背後の伊沢さんから感じる冷たい視線は無視して。…やっぱり気になっちゃって無視できません。ちょっと振り返ってみましょう。

あら、そんなに鬼の形相しちゃってどうされたんですか？今日も福良さんはこんなにも可愛いのに。そんな意味も込めて優しく微笑んでみると、べーっと瞼を捲る伊沢さん。本当にこの会社のCEOですか、緩すぎませんか。

「あーほらとむ、今日動画出演あったよね？そろそろじゃない？」

「そうですね、でもあれ福良さんが司会なので。先に河村さんのやってもらって良いですよ。」

河村さんからの攻撃も回避。ちっ、と舌打ちしたのバレてますよ。


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