【QK】ミモザの花言葉 vol.3【短編集】

お父さん izw × fkr ページ47

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伊沢side

「ねー、ほんとに行くの？」

「行くよ、仕事だもん。」

「俺も行きたい。」

「また今度一緒に行こうね。」

父親との旅行ロケ当日の朝。支度を整えて、まだ寝ている福良さんに挨拶をしてから出て行こうとしたら、いつの間にか起きていて文句を言われているところ。

旅行嫌いの福良さんに旅行に行きたい、と言わせられるのは俺だけだという自覚がある。俺となら行きたいんだって、惚気とこ。

「お土産買ってきてよね。」

「当然。」

「お父さんに俺の話しておいて。」

「ん？うん、分かった。」

布団から目だけ出して、必死に訴えてくる。福良さんのお望みとあらば、お土産も必死で探すし、福良さんの話もしよう。

「俺も連れて行ってよぉ。」

「旅行の相手に福良さん指名すれば良かった？」

「んん、そうじゃなくて…良いなぁ、お父さんと旅行。」

「えっ、そこ！？」

俺が1日いなくなることに対してご立腹なのかと思っていたら、どうやら俺の親父と一緒に旅行に行きたいらしい。

「伊沢のお父さん、面白いんだもん。色んなこと知ってるし。」

「この親ありてこの子あり、って感じでしょ。」

「うー、俺も行きたい。」

「ん、今度行こ。両親と旅行。福良さんのご両親とも行かせてよ。」

「…それは、どうしよう。」

そこは悩むんだ。こりゃ本当に俺と行きたいんじゃなくて俺の親父と行きたいだけだ。どんだけ気に入られてんだよ、親父。不覚にも親父に嫉妬した、そんな朝の話。


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