【QK】ミモザの花言葉 vol.3【短編集】

熱 izw × ymmt ページ5

.


伊沢side

山本が熱を出したらしい。朝オフィスに着いたら福良さんにそう言われて、なんで俺には連絡してくれないのかと少し嫉妬。福良さんには「昨日たまたま謎解きのことで連絡したから俺の名前が1番上にあったんでしょ」と嗜められたんだけど。

今日は、最近では珍しくテレビの収録とか取材とか、オフィス外での仕事が一切無い日だった。山本がいない寂しさを紛らわすため、めちゃくちゃ集中して仕事をしていると、スマホに電話がかかってきた。

かけてきた相手は、あの山本で。慌てて廊下に移動し、冷静を装って電話に出る。

「はいもしもしー？どうしたの？」

「伊沢さん。ぼく、ねつだしたんです。」

「うん、知ってるよ。」

いつもよりふわふわした口調。なんとなくひらがなっぽく聞こえるのは気のせいではないだろう。

「…家、来てください。」

「え、俺家知らないんだけど。」

「あーもうそんなのCEO特権で調べられるでしょ！早く来てください！」

電話、切られちゃった。山本の家に行く？俺が行っていいのか？いや山本が呼んでくれてるんだから行って良いんだろ！

「福良さん！俺山本の家行ってきます！」

「おぉ急だなぁ良いけど。住所知ってんの？」

「あ、そうだった。」

もう今にも飛び出そうとしてたんだけど、住所調べなきゃと思い直してパソコンの前へ。ごめんねー普段は絶対やらないから！本人の許可取ってるから！と心の中で言い訳しつつ社員名簿を開く。出てきた住所をスマホにメモって、今度こそオフィスを出た。


.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す