. ページ35
.
「げほげほっ、ただいま〜。」
最寄駅に煙草を吸っている人がいて、なるべく息を吸わないように横を通ったのに煙は避けられなかったらしい。家まで歩いているうちにだんだん咳は酷くなってきてしまった。
「げほっ、げほげほ、ひゅうっ。」
喉が締まりそうな感覚が苦しくて、一旦玄関の上がりのところに腰掛けた。
「おかえり…大丈夫?」
「ノブ!?げほげほっ、けほっ、ん、大丈夫。」
まだ帰ってないと思ってた…けど、よく見たら靴がある。余裕無くて周り見えてなかったわ。ノブに吸入するほどじゃないと伝えると、横に座って背中を摩ってくれた。
「げほ、ありがと。げほっ。」
少し経って。玄関は寒いし、リビングに行くことにした。ノブに支えられながら、玄関とリビングを繋ぐドアを抜ける。
「あ…飾りつけ、げほ、してくれてたんだ。」
「あー、うん、他人の家で勝手にやってごめん。」
「いやいやそんなこと、げほげほっ!」
「わ、ほらほらソファ座って。」
リビングに入ると朝まで普通だったそこは誕生日仕様に飾られていた。HAPPY BIRTHDAYの風船が壁にくっついてたり、俺の好きな料理がテーブルに並べられていたり。でもまだ咳は治まらなくて…こっちこそごめん。
「あのさー。プレゼント、今渡しても良い?」
「げほ、ん、良いけど。」
「ちょっと待っててね。」
ノブがどこかにプレゼントを取りに行く。何くれるんだろ、楽しみ。
「はい。物はこれ。マフラーね。あと…弱ってるところに漬け込むみたいで悪いんだけど、俺と付き合ってくれませんか。」
「えっ…げほっ。」
「いやさ、ここ数日泊まってて改めて乾のこと好きだなぁって、もちろん恋愛の意味でね?」
「そんな…げほげほっ、俺も好き。良いの?こんな俺で。」
「乾だから良いの!やった、嬉し…。」
今日色んな人に誕生日祝われたけどさ、日付変わってすぐノブが言ってくれたのと、今言われたその言葉が何よりも嬉しかったよ。本当にありがとう。
…これが、俺らは付き合い始めることになった、冬になりかけの日。
.
176人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蘭(プロフ) - tmさんの性同一性障害お願いできますか? (12月30日 20時) (レス) @page37 id: 63a9fa29e6 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - リクなんですけど、言ちゃんの喘息お願いできますか? (11月19日 21時) (レス) @page35 id: 63a9fa29e6 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよーこ(プロフ) - 仲良し兄弟mnちゃんとgnちゃんのお話し、可愛くて凄く嬉しいです。ありがとうございます(≧▽≦) (7月15日 16時) (レス) @page4 id: 7d400068d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:sunny | 作成日時:2023年7月14日 23時