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「ねぇ、言ちゃん。」
「なに、まだ料理中だけど。」
「僕彼シャツがしたいんだけど。」
ジュージューと美味しそうな音の隙間からそんな声が聞こえる。…はぁ?
「おお怖い。」
声に出ていたらしい。彼シャツって、いわゆる彼女が彼氏の服を着る、あれだよな。急になんだ?
「彼シャツって男がするもんじゃないだろ。」
「でもやってみたいのー!」
「てかいつもやってんじゃん?僕のだけど。」
彼氏なんかじゃなく双子の弟だが、自分の服ではない男の服を着ていることに相違はない。
「そうなんだけど…。」
あ、良いんだそれで。じゃあ何が不満なわけ?
「彼シャツってだぼだぼなのが魅力じゃん?言ちゃんの着ても別にぴったりなのよね。」
「そりゃそうでしょ、ほとんど背変わんないんだから。」
「うーでも彼シャツがしたい…。」
そう言われましても。あ、ご飯炊けた。もー、問ちゃんの話聞いてたから炊飯器に負けちゃったじゃん。…いや違うな、普通に僕の取り掛かりが遅かっただけだ。
「須貝さんにでも服借りれば?」
「そんなん山本さんに怒られるよ。うわー山本さん彼シャツしてそー…。」
それは…うん、分かるな。あれだけの身長差があったら服のサイズも相当違うはず。見たことはないけど、山本さん絶対家で須貝さんの服着てるよなぁ。
じゃあとむ、と言おうとしたところであることを思い出した。
「そういや買ったけどデカすぎて着てない服あるかも。」
「マジで!?まだある?」
「あー、る、と思う。」
「探してきて!ご飯代わるから!」
おうおうそんな急いでんのかい。後でも良いじゃん、と思うが意気揚々とキッチンに来た問ちゃんには逆らえない。ま、もうメインもできて盛り付けるだけだし、探してくるか。
捨てたり誰かに譲ったりはしてないし、どこかにはあるんだけど、それがどこかまでは…心当たりのある場所がたくさんある。
まぁ流石にクローゼットの中にあるかな。ハンガーにかかって…はなさそう。じゃあ冬用の服が入っている箪笥の中?いやここには絶対入れてない。アイロンかけるのめんどくさくて放置してる山の中、無い。謎に溜まっていく紙袋の中…無い。
もう探すの辞めても良いかな、と思いつつ最後にもう使っていないカバンを開ける。…え、あった。すごく形が好みで、ネットで買ってみたけど大きすぎて着られていなかった服。今見ても好きだな、うん。
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蘭(プロフ) - tmさんの性同一性障害お願いできますか? (12月30日 20時) (レス) @page37 id: 63a9fa29e6 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - リクなんですけど、言ちゃんの喘息お願いできますか? (11月19日 21時) (レス) @page35 id: 63a9fa29e6 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよーこ(プロフ) - 仲良し兄弟mnちゃんとgnちゃんのお話し、可愛くて凄く嬉しいです。ありがとうございます(≧▽≦) (7月15日 16時) (レス) @page4 id: 7d400068d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sunny | 作成日時:2023年7月14日 23時