２. ページ13
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ずっと怖かったのは、一体何に対してなんだろう。
手越と歌えなくなること？
手越が喉を掻きちぎってしまうこと？
痩せていく様子が世間に騒がれること？
…いや、違う。
俺はそんなに優しい奴じゃない。
怖かったのは、
「お前と歌えなくなるの、俺やだよ…」
俺が、手越と歌えなくなることだったんだ。
「っ…おれ、もうやだっ…！歌、好きなの、にっ…上手く歌えないっ…！」
俺の背中に回された手越の手が、強くしがみつくように俺の背中に爪を立てる。
正直痛いけど、きっと今は、手越の心の方が痛いんだ。
みんなの前で泣いて、一番の自信を持っていた歌への不安を吐露して。
そんなの、痛いに決まってる。
怖いに決まってる。辛いに決まってる。
「なんで、かなっ…なんで歌えなくなっちゃったのかなぁっ…！おれ、がんばってる、よっ…でも、でもっ…このままじゃっ…！」
捨てられちゃうよ
嗚咽に紛れた、幼い子供のような訴えかけだった。
15年前、俺の後ろに引っ付いて回っていた頃のような。
「っ…捨てる、わけ、っ……」
伝われ。
俺のこの声は、なんのためにあるんだよ。
「──俺が、お前の声を捨てるわけないだろッ！？！？」
お前と歌うためだ、馬鹿野郎。
お前との歌で気持ちを伝えるためだ、馬鹿野郎。
「上手く歌えねぇとか、いつか歌えなくなるかもとか、捨てられるとか、！！」
痩せ細った手越の両頬をつねる。
真っ赤に充血した大きな目からは、まんまるの涙が3つ零れた。
「俺はお前の相棒なんだぞ！？言えよ！辛いよ苦しいよって、SOSしろよ！！」
そしたら飛んでく。もっと簡単に抱きしめるし、笑わせてやるし、隣で歌ってやる。
お前の歌はちゃんと届くよって、他の誰でもない俺が言ってやる。
「っ…だからっ、歌えなくなるかもとか、そんな怖えこと、言うなよ…」
あぁ、くそ。俺が泣いてどうすんだよ。
「……そりゃあ怖いよねぇ、そんな事言われちゃったらさぁ」
俺の早口にビックリして固まった手越と、これ以上喋ると涙が零れそうで喋れない俺。
その間を埋めるように、優しい声がふわふわと空気に浮かんだ。
「、こや、ま…」
声の主であるリーダーを見やれば、手越も真似をするように小山に視線を向ける。
「ふふ、二人とも同じ顔してるよ」
「、同じ顔ってなんだよ…」
「んー、「助けて」っていう顔、かな」
小山はまた柔らかく笑って、手越の頭を、まるで母親のような目をして撫でた。
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かえで(プロフ) - みみくもさん» コメントありがとうございます！私も2人の涙腺スイッチが交互になってるの大好きです…笑 (2019年3月11日 13時) (
レス) id: 4d5112f6b0 (このIDを非表示/違反報告)
みみくも(プロフ) - テゴマスが同時に泣かないの本当好きです…ありがとうございます…… (2019年3月11日 13時) (レス) id: 073e7ada57 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ルルさん» お久しぶりです！なかなか頻度は安定しないかと思いますが、よろしくお願いします^^ (2019年2月17日 16時) (レス) id: 4d5112f6b0 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - お久しぶりです！短編集、どんな話が出てくるのか楽しみです！無理せず、更新してくださいね！ (2019年2月11日 9時) (レス) id: 1a033fe3e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで | 作成日時：2019年1月26日 15時
