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手越が泣いた。
こわい、捨てないで、まっすーがいい、と言って、唐突に泣いた。
「てごちゃん、まっすーもうすぐ来るって」
ひっく、ひっく、としゃくりあげる手越の頭を撫でて、小山が言う。
俺のリハ着はもう手越の涙でびしょびしょだ。リハはこれからだってのに、この末っ子は本当に容赦ない。
…でも、俺はなんだか嬉しくて。
「…よかったな、手越」
泣けてよかった。
その理由がまっすーでよかった。
俺と小山が意外と慌てずに済んでよかった。
手越が素直に「まっすーがいい」と言ってくれて、よかった。
唐突に、なんて言ったけど、それは俺の思い込みだったのかもしれない。
ほんとうは、手越はずっと前から泣いていたのだ。
「、てごしっ？」
「っ…まっすー…、！」
息を切らして帰ってきたまっすーを見て、手越がくしゃりと顔を歪める。
そしてパッと俺のリハ着から手を離したかと思えば、まるで何かを求めるように、まっすーに向けて両手を伸ばした。
「ぅ、っご、めんっ…！まっす、おれっ…ごめんなさぃっ…！」
嗚咽に混ざる声の弱さも、止まらない涙の綺麗さも、伸ばした両手の細さも。
俺たちはそれらから、ずっと、目を逸らそうとしていたんだね。
「……、ばかっ…」
電話越しに言っていたのと同じ言葉を繰り返したまっすーが、その小さな身体を、力強く抱きしめる。
「っ、いつも遅いんだよ、お前は！、なんでこんなっ……、こんなっ、…」
まっすーの声が上ずって、つんのめる。
顔を覗けば彼は泣くのを必死に堪えるような表情をしていて、ここでも、テゴマスは同時に泣かないのだなと場違いに感心した。
「っ…なんで、こんなに痩せるまで一人で背負おうとするんだよっ、このばかっ！」
…あぁ、そうか。
まっすーはきっと、手越に怒って出ていったわけじゃないんだ。
「う、ひっく、ごめ、んなさいっ…！」
どうしていいか分からなくて、怖くて。
気丈に振舞おうと必死になるこいつに優しくしてしまったら、こいつの作りあげてきたものが、あっという間に崩れてしまうんじゃないかって不安で。
でも、優しくしてやりたくて。守りたくて。
「…守らせてよ…俺らにもっ…」
まっすーが、小さな声で苦しそうに言ったそれが、たぶん一番の本音なんだ。
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かえで(プロフ) - みみくもさん» コメントありがとうございます！私も2人の涙腺スイッチが交互になってるの大好きです…笑 (2019年3月11日 13時) (
レス) id: 4d5112f6b0 (このIDを非表示/違反報告)
みみくも(プロフ) - テゴマスが同時に泣かないの本当好きです…ありがとうございます…… (2019年3月11日 13時) (レス) id: 073e7ada57 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ルルさん» お久しぶりです！なかなか頻度は安定しないかと思いますが、よろしくお願いします^^ (2019年2月17日 16時) (レス) id: 4d5112f6b0 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - お久しぶりです！短編集、どんな話が出てくるのか楽しみです！無理せず、更新してくださいね！ (2019年2月11日 9時) (レス) id: 1a033fe3e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで | 作成日時：2019年1月26日 15時
