約束の話 ページ7
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「おい！聞こえてんなら返事しろ！」
「…シゲ、もういいよ。行こう」
慶からの返事はないまま、祐に手を引かれる。
智久くんはお説教する素振りも見せず、叱るような雰囲気もなかった。
ただただ、慶を振り返って、こちらに意識は向いていないみたいだった。
「……っ、お前が強いなんて、元から思ってねーんだよ、ばかっ…」
伝わっていなかったらどうしよう。
祐の制止を振り切って、智久くんの声も無視してやったくせに、突然不安に駆られた。
…俺は、慶に何も恩返しできないの、？
そのことが……こんなにも、苦しいの？
家族に何もしてあげられないって、こんなに辛かったんだって。
俺は今、初めて、
「──────っ…シゲっ！！」
「、うわぁっ！！」
後ろからきた、突然の衝撃に驚いて大きな声が出た。
前のめりになった俺を、前を歩いていた祐が目を見開いて見つめる。
だけどすぐに、その目は、俺じゃない別の人物を映した。
「……けい、ちゃん、？」
「っ、慶……？」
ぎゅう、と痛いくらいに俺を抱きしめるのは、布団を被って動かなかったはずの慶だった。
ずび、と鼻をすする音と、さっき無理やり止めていたであろう嗚咽。それから、大粒の涙。
ぜんぶ、雨のように頭の上から降ってくる。
今まではずっと隠れていた何かが。そっと。
「っ、しげ、ゆうっ…ごめんっ、おれ、嘘つきで、でもっ……きらわれたく、なくて、っ…」
慶にしては珍しい、支離滅裂な言葉の羅列が続く。
震えた声で紡がれるその言葉たちは、今まで一体いくつの鎖に繋がれていたの？
「……いいよ、許してあげる」
誰も許さないなんて言ってないし、怒ってもないけどね。
慶は…誰かに、許して欲しいんだと思うから。
だったら、その悪役は俺が引き受けようかなって思うんだ。
大切な、大切な、
「…兄ちゃん、」
兄弟だから。
「お、れっ……はなす、から、タカにも、っ…ちゃんと、みんな揃った、らっ……だからっ……」
待ってて、もう少しだから。
慶がそう言った頃には、俺もつられて涙ぐんでいて。
智久くんは、そっと包み込むように俺たち2人を抱きしめてくれた。
その、あまりにも幸せな家族の、あたたかいカタチに気をとられて、
「…祐也もおいで」
「、……ううん、おれは、いいや」
智久くんが差し伸べた手に対し首を振った祐のことは、
気に留めることができなかった。
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まお(プロフ) - いつまでも更新を待っております…！！大好きです！ (2020年6月6日 23時) (
レス) id: 2be1c136eb (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ぽっか(プロフ) - 初めまして！このお話本当に大好きです！テゴマスの話の続きがとても読みたいです。もう更新ありませんか？ (2020年5月8日 22時) (レス) id: 449c7f8148 (このIDを非表示/違反報告)
テゴアヤ(プロフ) - ゆうとたかのお話の続きが楽しみです。今の状態はちょっと胸がチクチク悲しくなります。また4人とやまぴーりょうちゃんの笑顔が戻る日を楽しみにしています (2020年1月12日 12時) (レス) id: 8bc0735841 (このIDを非表示/違反報告)
テゴアヤ(プロフ) - このお話が本当に好きです！大変かもしれませんが、更新を楽しみにしています！！ (2020年1月12日 12時) (レス) id: 8bc0735841 (このIDを非表示/違反報告)
eRu(プロフ) - 初めてコメントさせて頂きます。今日の朝このお話を見つけて、全部一気に読んでしまいました！とても、とても、いいお話です…！これからも楽しみにしてます！スランプ脱出、頑張ってくださいね！ (2019年9月29日 16時) (レス) id: 2d1d6afcf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで | 作成日時：2018年7月22日 13時
