不機嫌な彼を攻略するには

あなたのことばかり ページ30

としみつsaid




と「どうぞ。」


『おじゃまします…』




ドアを開けると緊張気味に入ってくる。、

少しキョロキョロ周りを見渡して、俺を見つめるA。




『としみつさんの部屋、広くて綺麗で、緊張しちゃいますね…笑』


と「そうか？」


『としみつさんと2人きりだから緊張してるだけかも笑』


と「っ……」




こいつ、これ天然でやってる？

狙ってやってる訳じゃなさそう…

なんとなく気づいてたけど、天然たらしってやつ？笑

あー、タチわる…




『としみつ、さん…？』




首傾けて、不思議そうな顔。




と「……撮るか。」


『はいっ。
カメラの準備お手伝いします。』


と「ん、ありがとう。」




セッティングが終わって、マイクの前に立つ。

カメラの向こうにAがいて、真剣な顔してこっちを見つめてる。

なんか、いつもより緊張感あるけど、それもちょっと心地いい。

今日歌う曲はHYの366日。

ふぅーっと息を吐く。




それでもいい

それでもいいと思える恋だった

戻れないと知ってても

繋がっていたくて




怖いくらい覚えてるの

あなたの匂いや

しぐさや全てを

おかしいでしょ

そう言って笑ってよ

別れていても

あなたのことばかり




歌い終わって目を開けると、カメラの向こうで俺を見つめるAの瞳からスーッと涙が流れた。

自分が泣いていることに気づいたAは慌てて涙を拭いて、カメラを止めた。

俺の歌で泣いてくれた…？

ゆっくりAのもとへ近づいた。

さっき拭いたはずの涙が、次から次へと溢れ出してくる。

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