不機嫌な彼を攻略するには

お前、熱あるだろ ページ18

としみつsaid




さっき、イベントの主催者に言われた言葉が頭の中でぐるぐるしてる。

俺が最初にあんなこと言ったから、こいつのこともしかして無理させてるんじゃないか…

一ヶ月で、とは言ったものの、マネージャー経験のないこいつがここまで動けるようになるには相当努力してないとできないはずだ。




『としみつさん…？
どうかしました？』


と「あ、いや。」


『タクシー来たので、お送りします。』




タクシー乗り場まで俺に着いてきた。

いいって言ったけど、「外にファンの方がいるかもしれないので」とかなんとか。




『では、今日は本当にお疲れ様でした。』


と「お疲れ様。」


『明日のスケジュールですが、15時頃にお迎えに行きますので、その後事務所で………』


と「っ…！」




タクシーに乗る直前、明日の確認をしてる時、いきなりふらっと後ろに倒れそうになったから、慌てて背中に手を回す。

抱き抱えた身体はなんだか熱くて。

おでこや首を触ると明らかに熱がある。




『あの…ごめん、なさい…
大丈夫です。
ちょっとめまいがしただけで…』


と「お前、熱あるだろ。」


『へ？
ねつ…？』




こんな高い熱出してて、気づかないとか。

人のことは細かすぎるくらい見て気回してるくせに、自分のことになると鈍感。




と「荷物、どこに置いてる？」


『えっと…控え室ですけど…』


と「ん、ちょっと待ってろ。」




とりあえずタクシーに、ぐったりしてるこいつを乗せて、運転手に待ってもらうよう伝える。

控え室の荷物を持って戻ってきた。




『あ、荷物…すいません。
としみつさんに運ばせてしまって…』


と「家、この間の場所でいいんだよな？」


『えっと…』




この間送った住所を運転手に伝えて、とりあえず先にこいつを送っていくことにした。




『あの…としみつさんは…』


と「こんな状態のお前放っておけないから、家まで送るわ。」


『ほんとに、すいません…
イベント後で疲れてるのに…』


と「熱出してるやつに心配されたくない。」


『すいません…』

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