無いなら作ればいいだけだ。 (ページ2)

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お仕事 2 ページ2

━いつき━

本はいい。
読んでいる人を癒し支える。
俺は本を読んで幸せになっている人を見るのが大好きだ。
だから、本が大好きなあいつなら小説家になるのだろうと思ってサポートするために編集者になったのに、本屋の定員になってしまった。
まあ、たまに目を輝かせながら仕事の話を聞く姿は本当に天使だからいいのだけれど。

…と言うか、さっきからずっと電話かけてるのになんであいつは出ないんだ！
いつも締切ギリギリになるから今回こそは余裕を持たせようとしているのに！！！
あんの馬鹿小説家！！！！！！

｢…はああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜！｣

｢おい、日蔭。うるさいぞ。小野先生にもそれなりのご予定とかあるんじゃないのか？｣

馬鹿小説家贔屓気味の上司、緒田原編集長だ。
170㎝と少し小柄なのもあってか三十路半ばとは思えないほど若々しい。
正直ものすごくタイプだ。
だが、この愛くるしい外見とは裏腹に化け物かと思うほど仕事が早く丁寧で完璧だ。
そこは全然可愛くない。

｢編集長〜俺にも優しくしてくださいよ…｣

｢お前に優しくすることで俺に何かいいことでもあるのか？そんなに小野先生が気になるなら会いに行けばいいだろう。｣

これは確実に脈ナシですね〜
いつものことですね〜

｢えー、嫌ですよ。だって全然人の話聞かないんすもん。あ、でも確か、編集長の話はちゃんと聞いてますよね。…この後一緒に行きませんか？｣

こんな面倒事行かないのが普通なのだが…

｢………はぁ、仕方ないな。わかったからあと10分待て。10分で片をつけてやる。｣

と、面倒みがいいせいで脈アリなのか未だに期待してしまう。
そして相変わらずの化け物っぷり…流石っす。

ではでは俺は勘であの馬鹿小説家の居場所でも突き止めますかね〜
(これが意外と当たるのだ。)