⚫＿続 ページ10
「…いいの？」
「そんな可愛いこと言われて放ってはおけないだろう。それに、廊下は冷える」
傑の言葉に甘えて、そっと教室に入る。
甘いような苦いような、煙草の独特の香りが濃くなって私に纏わりつく。私は傑の隣の自席に座った。
「私の前でも吸っていいのに…」
「まさか。吸わないよ」
ふわふわと漂う白い煙りの中で微笑む姿は普段から大人びた彼が、さらに大人びて見える。
「どうして？」
「ん？…すぐ出来ないだろう？キス」
爽やかな表情でさらりと言われるので、つい慣れてない私は赤面してしまう。
「か、からかってる…？」
「ふふ、」
傑は私の反応に満足したとでも言うように微笑む。
その私を見つめる瞳があまりにも優しい事に気がついて、思わず視線を反らした｡
傑は短くなった煙草を灰皿に押し付けて、私の髪に優しく触れる。
私がくいと彼の制服の袖を引っ張ると、傑は一瞬戸惑ってからふにゃりと笑った。
「困ったな」
髪に触れていた手が、今度は私の頬に添えられて、やがて唇が重なった。
大好きな人から伝わってくる煙草の残り香は苦くて、でもどこか甘くて。言えば怒るのだろうがどこか癖になってしまいそうだった。
淡く唇が離れたあとも、口内に彼の香りが残り続ける。それが離れてもまだ繋がっているみたいで嬉しかった。
でもこの香りも、いつか消えると思うと少し寂しくなった。…でもまあ、無くなったらまた貰えばいい。そう思っている私の考えを呼んだかのように、傑は苦笑いをしながら「こら」と私を嗜めた。
「なーに」
「ずっと影から見てるのが可愛かったから吸ってただけで、もう君の前では吸わないからね」
「ええ！」
拗ねて膨らませた頬をツンツンしながら、傑は「ダメ」ともう一度優しく釘を刺した。
「…分かった」
絶対に拗ねてまたしてもらおう。私は心の奥底でこっそりと誓う。
口の中の仄かな香りは、やがて優しく私の体内へと吸い込まれていった。
続く (更新停止中)
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みみみみみ(プロフ) - 結菜さん» 閲覧ありがとうございます😭わーーそういって貰えて嬉しいです💘ありがとうございます！！ (2023年2月21日 21時) (
レス) id: 9c9c01e69d (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - どうも結菜です！リクエストに答えてもらってありがとうございます。拝見遅れてしまいました🥺兵長もそうですけどめちゃくちゃ私好みのお話です😍私進撃もそうなんですけど、呪術回戦めっちゃ好きで呪術回戦0、10回ぐらい見るほど好きなので最高でした！ (2023年2月19日 0時) (レス) @page5 id: 19761245cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2023年1月14日 19時
