⚫＿続 ページ4
「…レモネード？」
高専の自販機にあったものだろう。おしゃれな筆記体で書かれた商品名にはどこか見覚えがあった。
「そう。熱中症予防や疲れにも効くから、体術の後なんかによく飲むんだ」
「…私、レモネード初めて飲む」
そう言うと彼はおや、と目を見開く。
「そうなのかい？口に合うといいんだけど」
彼が言い終わる前に蓋を開けて呷ると、レモンの甘酸っぱさが身体に行き渡る感覚がした。
「…おいしい」
「本当かい？それはよかった」
彼は目を細めて笑い、私の頭を撫でた。
「次からはもっと私のことも頼るんだよ。…約束」
「…うん、ありがとう」
その日飲んだレモネードは世界で一番甘酸っぱくて、美味しかったのを覚えてる。
◆
「…苦」
あれから、飲めば飲むほど苦味が増してく｡
癒えない傷の在処を分からせるように、何度も何度も苦味が襲ってくる。
私はため息をついて立ち上がり、補助監督の元へと歩き出した。
あれからもう5年も経ったのに、私だけが未だ青春の煌めきにしがみついている。
悟も、硝子も、前を向いている。辛くてもそれを人に見せないよう努力してる。
私だけ。私だけが、ずっと子供のままだ。
街を歩くたび彼の姿を探している。誰かと適当に付き合えば彼のことを忘れられるかとも思ってマッチングアプリを始めたが、付き合うことさえ気が乗らず、3回も失敗した。
何度も何度も、彼にかけられた言葉、彼に触れられた感触を思い出す度、またそんな風に微笑んでくれるのではないかと、淡い期待を抱く。次こそは甘くなると信じながら飲み続けるレモネードと同じだ。
＿＿＿＿馬鹿みたいだ。
「…今日はここでおろしてください」
補助監督の車に揺られること数十分、私は街中でおろしてもらった。夜風に当たって少し気分を落ち着かせたかった。
「…寒っ」
夜風はやはり冷える。私はポケットに手を突っ込んで自宅への帰途につこうとした時、ふと後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
「え…」
誰？
そう尋ねる前に肩を鷲掴みにされた。
「ひっ」
『Aさんですよね！？僕、あれからずっと貴方の事が忘れられなくて、連絡もつかないしどうしたものかと』
肩を揺すりながら一気に捲し立てるこの男は、この前マッチングアプリで出会った男だった。だが、何か様子が違う。この前の落ち着いた感じではなく、血走った目で私を捉え、唾を飛ばしながら叫んでる。
＿＿＿＿怖い。本能的にそう感じた。
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みみみみみ(プロフ) - 結菜さん» 閲覧ありがとうございます😭わーーそういって貰えて嬉しいです💘ありがとうございます！！ (2023年2月21日 21時) (
レス) id: 9c9c01e69d (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - どうも結菜です！リクエストに答えてもらってありがとうございます。拝見遅れてしまいました🥺兵長もそうですけどめちゃくちゃ私好みのお話です😍私進撃もそうなんですけど、呪術回戦めっちゃ好きで呪術回戦0、10回ぐらい見るほど好きなので最高でした！ (2023年2月19日 0時) (レス) @page5 id: 19761245cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2023年1月14日 19時
