story3:反抗期 ページ5
「ちょっとキヨ、やめてよああいうの」
自宅に帰った後そのまま隣の幼馴染み宅へ顔を出すなり文句を言い出す私を、当のキヨは呆けた顔で私を見ていた。
キヨ「ああいうのって？」
「今日手振ったでしょ、私に。周りからすぐ幼馴染み扱いされて羨ましがられて困ってるの」
リビングでお菓子をつまんでいるキヨに文句を言うと、彼はぱちくりと瞬きをした。
キヨ「俺を追いかけて入った奴が何言ってんの？
…あぁ、もしかしてAちゃん、反抗期？」
からかうようにそう言ってくるキヨを睨み付けると、リビングの入り口から少しだけ顔を出してフジ先輩が声をかけてきた。
フジ「あれ、Aちゃんこんにちは！お邪魔しててごめんね〜」
「あ、いえ！というかここは私の家じゃないので、全然謝らなくても大丈夫です」
どうやらキヨが漁っていたお菓子は、来ていた友達達に出すものだったらしい。思えば確かに、上の階から話し声が聞こえてきてる。玄関にも多めに靴が出ていた。
…キヨに言ってやろうと意気込むばかり、色々と見落としていたらしい。
キヨ「何だよ、フジにはいいこちゃんぶって」
「うるさいな…いいから、学校ではもう私には構わなくていいから」
そう言い捨てて、私は身を翻した。後ろからフジ先輩とキヨの「何かあったの？」「何か反抗期らしい」という会話が聞こえてきたけれど、無視して隣の自宅へ帰る。
母「あら、今日はキヨくんと一緒に遊ばないの？」
自宅へ帰るとリビングでくつろいでいた母が、私の気も知らずにそんなことを呟いた。
「今日はって、お母さん。私もうここ最近はずっとキヨと遊んでないじゃん」
高校入学から早いことで、もう半年経過した。
そして心からキヨと同じ高校を選択したことを後悔していた。
友達からはキヨの連絡先を教えろとせがまれ、男子達からはふたりきりになるだけで”キヨ先輩に悪いから”なんて言われる始末。キヨと少しでも話しているところを見られれば女子たちからは羨望と嫉妬の目を向けられ、悪口を言われる。
おかげで彼氏も、本当の友達すら、出来ずにいる。
キヨのことを嫌いになったわけじゃないし、キヨの言う通りこの高校を選んだのは他でもない私自身で我が儘を言ってることくらい分かってる。
ただもう少し楽しい高校生活を想像していた私からすれば、この状況は打破したいものだ。
母「あらそう？お母さん夜今日出掛けるから、何かあったらキヨくんに頼るのよ」
私は生返事をして、自室に戻った。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年10月22日 0時
