灰色に染まった青春の余韻【ky】 (ページ15)

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story12:密告ページ15

(キヨside)

フジ「Aちゃん、大丈夫かね」

あの後結局大丈夫だと言って無理に教室に戻って行ったAを見て、どうすればいいのか、どうするのがAにとって一番いいことなのかを考えてはいたけれど。

キヨ「大丈夫じゃないだろ」

今も…、いや、これまでもずっとAが俺のせいで泣いていた事実を、目の前で突きつきられた気がしていた。

Aのためにと思ってしたことが、裏目に出た。
果たしてこれは本当にAのためになっていたのか。というか俺の存在がなければ、Aはこんな目に合うことはなかったはずだ。

俺が、幼馴染みだから。
なのに、俺を慕ってこの高校に入ってきてくれたAにとって俺が出来たことはなんだ。

何もない。

苦しめてしかないんだ。
無視しないでとか言ってみたり、今度は俺が何とかするから大丈夫と言ってみたり。

自分勝手で、どうしようもない。

フジ「キヨ、大丈夫？」

心配そうに俺の顔をフジが覗き込んできた。

キヨ「…最終手段を取るしかないよな」

もうこれ以上、大切な幼馴染みを傷つけたくない。

・

(Aside)

学校が終わって、キヨが迎えにきてくれる前にと、急いで私は家に帰った。

…疲れた。
もう今は、何も考えたくない。

キヨとフジ先輩に迷惑をかけてしまった罪悪感とか明日からの不安とか、考えたいことも考えてしまうことも嫌と言うほどあるけれど。

とにかく今は、無事に帰ってこれたことが嬉しい。
…明日から、どうしたらいいんだろう。
もう学校何て、行きたくない＿＿＿。

私は頭をぶんぶんと振って、考えを振り払った。
そんなこと、今考えても仕方ない。とりあえず今日はもう寝よう。疲れた。

そう思って、布団に入って目を閉じた。

・

目が覚めると、リビングから何やら話し声が聞こえてきた。

…お客さんでも来てるのかな？

そう思って、リビングに行くと。

『A…っ』

何故かハンカチを持って泣いているお母さんと、

キヨ「A…」

私の姿を見て唖然としているキヨがいた。

「え……？」

分かりたくなかった。
でも嫌でもこの状況を見たら、わかってしまう。

頭がぐるぐると回って、色んな感情が涌き出てきてきもちがわるい。

「…ちょっときて！」

私はソファに座ってるキヨの腕を掴んで、外へと連れ出した。