31-6. ページ36
.
『私が喧嘩した猛くんを責めたから…?』
「…Aはなにも悪くねぇよ」
『じゃあ、どうして…』
「悪い」
『質問の答えになってない』
俺に問いかけるAの言葉はいつもと変わらず真っ直ぐで、曖昧に濁すことに限界を感じた俺はAに嘘をつくことにした。
全て終わったら、ちゃんと話すから
全部嘘だった…って
Aとこれからずっと一緒にいるための嘘だ
許せ、A
「疲れたんだよ。俺ら、なにもかもが違いすぎてこれ以上一緒に居るとかたぶん無理だわ」
『そう…』
俺を見つめるAの目に涙が溜まっていく。
今すぐに抱きしめてやりたかった。
抱きしめて、「俺がAと別れるわけねぇだろ」って言ってやりたいのに、今の俺は抱きしめてやることも、そんな言葉をかけてもやれない。
苦しくて、どこも怪我なんかしてないのに痛くてたまらなかった。
「泣くほど俺のこと好きかよ?」
『好き、だよ…猛くんのことが好き…』
自分で聞いたくせに、聞いたことを後悔した。
気持ちが揺らぐ。
俺だってこんなこと望んでるわけがない。
一番何より大切な女を、俺自身が傷つけるなんて…
それでも、Aの俺への気持ちを確認して、どこか安心してる自分に嫌気がさした。
ごめん、A
絶対Aを俺のものにするから…
辛いのは今だけだから…
「俺は…もう、好きじゃない…」
本当はすげぇ好きだ
誰よりも、何よりも、大切に思ってる
こんなふうに思えたのAが初めてだ
『もう…戻れないの?』
戻んよ、戻るに決まってんだろ
そのために俺は…
「っ…そういうことだから。もう終わりにしようぜ」
涙が止まらないAをこれ以上見てられなくて、俺は足早に店を後にした。
.
613人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未亜(プロフ) - 青葉さん» 青葉さん、コメントありがとうございます!誤字訂正させていただきました! (2019年8月12日 6時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 29-5.のここの台詞 『私と話がしたいんだよね。逃げようとしてごめんなさい。別れ話でもちゃんと聞くから、美咲さんに怒らないで』 これ正しくは美咲さんをではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 29-1.嫉妬しましたのここの部分 きっとチョコレートの食べ過ぎて胸焼けしてるのね 味見はしばらく控えるようにしないと… これ正しくはチョコレートの食べ過ぎで もしくはチョコレートを食べ過ぎてではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 何度も続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 同じく28.会えない日々のここの台詞 「…私、猛の彼女の見てみたいんだけど!」 これ正しくは猛の彼女のことではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - またまた続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 28.会えない日々のここの部分 ※美咲さん、今回の話でお名前被ってしまってすみません。 これってどういう意味なんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:未亜 | 作成日時:2019年3月2日 19時