29-1.嫉妬しました ページ21
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久しぶりに猛くんと放課後一緒に帰る日。
バレンタインの練習の為に、何かと理由をつけて猛くんを避けていたんだけど、やっぱりどうしても会いたくなってしまった。
いつも私を待っていてくれる猛くんが今日は居なくて、校門で猛くんを待つ時間がなんだか少し新鮮…。
「いつまでついてくんだよ!」
「だから、噂のAちゃん見たら帰るってば」
猛くんの声に顔を上げると、私の知らない女の子と仲良さげに並んで歩いてくるのが見えた。
一瞬、この間の京子ちゃんの言葉が思い出されたけど、頭を振って気持ちを切り替える。
「A、悪い。待ったか?」
『ううん。さっき終わったとこ』
「え、この子がAちゃん!?めっちゃマブいじゃん!猛、好み変わった?」
「もういいだろ。帰れよ、美咲」
名前で呼び合う2人の様子に、何故だか胸のあたりが苦しくて、もやもやしたものがじわじわと広がっていくような感覚がした。
きっとチョコレートの食べ過ぎて胸焼けしてるのね
味見はしばらく控えるようにしないと…
「…ちゃん!Aちゃん!」
『えっ…あ、はい』
「私、安藤美咲!猛の元カノなの」
「美咲!てめっ、余計なこと…
『初めまして、AAです』
頭を殴られたような衝撃になんとか耐えながら、なるべく冷静を保って自己紹介をする。
私は猛くんが初めての彼氏だけど
猛くんの過去に私じゃない彼女が居たとしても不思議じゃない
だから、これくらいで動揺なんてしちゃダメよね
「猛、毎日会ってるんでしょ?今日は私にAちゃん譲ってよ」
「ふざけんな。これ以上、邪魔すんなら女だろうが容赦しねぇぜ?」
『た、猛くんっ』
「行くぞ、A」
強引に腕を引かれ、猛くんのペースで歩き始める。
その場に残された美咲さんに会釈すると、笑顔で手を振り返してくれた。
『あの…猛くん、痛いっ…です』
「あ、悪い」
しばらく進んだところでやっと言えた私の言葉に、猛くんは掴んでいた腕を離し、申し訳なさそうに頭をかきながら私に向き直った。
「今日はどうしてもAと二人が良かった」
『わ、私も…』
「美咲のこと、もう終わってるから気にすんなよ?」
『うん』
私の手をとり、ペースを合わせて歩いてくれる猛くんはいつもの優しい猛くんで…
それなのに、目の前の猛くんじゃない過去の猛くんに意識が集中してしまい、心のもやもやが広がっていった。
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未亜(プロフ) - 青葉さん» 青葉さん、コメントありがとうございます!誤字訂正させていただきました! (2019年8月12日 6時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 29-5.のここの台詞 『私と話がしたいんだよね。逃げようとしてごめんなさい。別れ話でもちゃんと聞くから、美咲さんに怒らないで』 これ正しくは美咲さんをではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 29-1.嫉妬しましたのここの部分 きっとチョコレートの食べ過ぎて胸焼けしてるのね 味見はしばらく控えるようにしないと… これ正しくはチョコレートの食べ過ぎで もしくはチョコレートを食べ過ぎてではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 何度も続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 同じく28.会えない日々のここの台詞 「…私、猛の彼女の見てみたいんだけど!」 これ正しくは猛の彼女のことではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - またまた続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 28.会えない日々のここの部分 ※美咲さん、今回の話でお名前被ってしまってすみません。 これってどういう意味なんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未亜 | 作成日時:2019年3月2日 19時