相良くんと高嶺の彼女２

28.会えない日々 ページ20

※美咲さん、今回の話でお名前被ってしまってすみません。
.



「はぁー…」


「どうした？」



登校早々、ため息をつく俺に智司が声をかける。



「…最近、Aに避けられてる気ぃする」


「朝、送ってきたんじゃないのか？」


「帰りは友達と帰るって…もう1週間も放課後会ってねぇ」



朝と放課後の送り迎えが日常になってから、こんなにも連続で断られたことはなくて…
下っ端に護衛も兼ねて後をつけさせてはいるが、本当に友達と帰っているらしく、決して他に男がいるとかを疑っているわけではない。

朝だけだと足りねぇんだよ
眠すぎてイチャつく気になれねぇし



「家隣なんだから会いに行けばいいだろ」


「…行ったら拒否られたんだよ」



昨日行ったら『学年末の試験勉強に集中したいから、しばらく家には来ないでほしい』と言われた。
今まで試験期間中に一緒に居て放置されることはあっても、距離を置きたいと言われたのは初めてだった。

これまで邪魔したことない…とは言い切れねぇけどよ
俺、そんななんかしたか？



「まぁそうゆう時もあんだろ。気長に待ってやれよ」


「いつまでだよ、くそっ」





.





Aに会えない日が続くのと比例して募っていく鬱憤を、難癖つけて片っ端から喧嘩を吹っかけることで発散していた。
路地裏で相手を捻り終えた頃、背後から呼ばれた自分の名前にAかと思い冷や汗が伝う。



「…なんだ、美咲かよ」


「えっ、その反応ひどくない？」



振り返った先に居たのは、Aと付き合う前に一時期付き合っていた美咲だった。
色々あって別れたけど、付き合っても長続きしない俺が唯一そこそこ続いた女。

変に干渉してこねぇから楽だったんだよな



「また喧嘩してんの？懲りないねー」


「うるせぇよ」


「てか、一人なの珍しいじゃん」


「彼女迎えに行くとこだから」



今日はAの方から『一緒に帰りたい』と言われ、久しぶりに迎えにいく途中だった。
こうゆう日に限って向こうから喧嘩を吹っ掛けられ大幅に時間をロスする。

最近暴れすぎたわ
A、まさかもう終わってたりしねぇよな



「彼女いるんだ。なんか変わったね、猛。私の時は迎えに来てくれたりしなかったのに」


「まぁAのことは本気だからなぁ」


「…私、猛の彼女見てみたいんだけど！」


「はぁっ？」


「よしっ！彼女ちゃんのお迎え行こー！」



許可もしてないのに、美咲は俺の腕を引いて歩き始めた。



.

29-1.嫉妬しました→←27.不安

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す