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「A、もう一回」
『秋ちゃんが帰ってきちゃうからダメ』
「付き合ってるの知ってるんだからいいよ」
『んっ』
扉が開く音がして、慌てて真一郎と距離をとる。
入ってきたのは秋ちゃんではなく、制服姿の女の子だった。
『すみません。まだオープン前なんです』
「私、人と会う約束があって…あ！翼さんっ！」
私の隣を通り過ぎて、女の子が真一郎に駆け寄る。
「瞳ちゃん、迷わなかった？」
「はい！土曜日のBBQありがとうございました。すごく楽しかったです」
『えっ』
「あー…うん。俺も楽しかった」
真一郎はバツが悪そうに私を一度見た後、彼女に微笑んだ。
土曜日は大学の友達とBBQだったんじゃないの…？
親しげに話す2人に、何も知らない私だけが置いてきぼりにされた気分になる。
「瞳ちゃん、このお店で働いてるA。A、音楽のイベントで知り合った瞳ちゃん」
「初めまして。白河瞳です」
『長沼Aです』
彼女って紹介してくれないんだ…。
さっきまで"真一郎を信じてるから"って言ってたのに、その信頼が音を立てて崩れていく。
「私、翼さんのピアノ聞きたいです！」
「もちろん。瞳ちゃん、先にピアノのとこで待っててくれる？A、ちょっと…」
真一郎に腕を引かれて、お店の奥に連れて行かれる。
私は彼の顔を見ることができずに俯くことしかできなかった。
「帰ったらちゃんと説明するから」
『説明ってなにを…？』
「瞳ちゃんとは何でもないから。音大に進みたいって相談にのってるだけで、あの子まだ中学生だし」
『中学生とBBQ…』
「2人でじゃないよ？大学の友達も居たから」
『彼女待ってるから早く行ってあげて。私も準備とかあるし』
真一郎の背中を押して、彼女の方へ押しやる。
今は彼の話を冷静に聞けそうにない。
本当に何もないなら初めから女の子が居ることも言って欲しかった。
「アレなんなんですか？」
『さぁ…』
「あの子、知ってるんですか？Aさんが翼くんの彼女だって」
『…知らないんじゃないかな』
「翼くんも翼くんですよ。彼女も居るバイト先に女の子呼ぶなんて」
戻ってきた秋ちゃんは当事者の私より真一郎に怒っていて、逆に冷静になれた気がした。
真一郎に怒ってるわけじゃない。
ただ悲しくて苦しい…。
私はその日初めて、仕事終わりを待ってくれた真一郎に声をかけずに裏口から一人で家に帰った。
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ポル(プロフ) - すごくおもしろいです！続きを楽しみにしています！ (2020年7月11日 16時) (
レス) id: e5a0f78b99 (このIDを非表示/違反報告)
未亜(プロフ) - ゆーうさん» ゆーうさん、コメントありがとうございます！すごく好き…嬉しいです^ ^！！書き上げられるよう頑張りますね！ (2020年7月1日 22時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
未亜(プロフ) - ちーさん» ちーさん、いつもありがとうございます！ (2020年7月1日 22時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーう(プロフ) - すごく好きなので最後まで応援してます！！ (2020年6月20日 0時) (レス) id: a3dde4f075 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - ゆっくりでもいいので頑張ってください！！ (2020年6月19日 6時) (レス) id: ef1b84f95d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未亜 | 作成日時：2020年4月28日 19時
