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「ピアノ弾けるんだ」
『少しだけね。子どもの頃に習ってたから』
「もうやってないの？」
『今の仕事には必要ないから…』
「続ければいいのに。せっかく弾けるのに勿体ないよ」
『そう、だね…』
「…あと今のところ間違えてる」
『えっ…久しぶりに触ったから』
彼女の後ろに移動し、鍵盤に添えられた手に自分の手を重ねる。
「教えてあげる」
『えっ』
「そこはこうして」
『ぅん…』
「…Aさん、手小さいね」
『真一郎くんが大きいんだよ』
「ここは？届く？」
Aさんの顔を覗き込んで聞けば、真っ赤になって俯き、俺の方を見ようとしない。
可愛すぎる。
ねぇ、俺のこと少しは意識してくれてるって思っていいの？
小さなAさんの体を後ろから抱きしめれば、俺の腕の中でビクッと反応する。
そんな様子も可愛くて、抱きしめる腕に力がこもった。
『し、真一郎くん…？』
「家に帰りたくないならここに居ればいい」
『えっ…』
「ずっと好きなだけ居ていいから」
『そ、そんなの甘えられるわけ…
「俺がAさんと一緒に居たい。それが理由じゃダメ？」
耳まで赤く染めて俯くAさんの髪に1つキスを落とせば、驚いた顔でやっと俺の方を見てくれた。
潤んだ瞳で見つめられ、キスしたくなる衝動を理性で押さえ込む。
『わ、私…こうゆうの、疎くて…あの…』
「Aさんのことが好きだよ」
『っ…』
「会ったばっかでって思われるかもしれないけど一目惚れだったんだ」
『わ…私も、真一郎くんのこと…気になってる。もっと…知りたい…』
Aさんの頬に手を添えれば、Aさんが俺の手に自分の手を重ねて、恥ずかしそうに視線を逸らす。
その仕草にギリギリ抑えていた理性も限界で、彼女の柔らかな唇に自分の唇を重ねた。
最初こそ驚いていた彼女も、何度も唇を重ねる内に少しずつ力が抜け、俺の腕に捕まりながら身を委ねてくれた。
俺より年上なのにピュアな彼女が可愛くて、最初からとばし過ぎてしまったらしい。
唇を離した彼女は肩で息をしながら、涙目で俺を見上げていた。
『真一郎くん…』
「名前呼び捨てで呼んで、A」
『し、真一郎…っ』
自分の名前をこんなにも好きだって思ったのは初めてだと思う。
彼女の声で紡がれる音に胸がじんわりと温かくなるのを感じた。
「A、俺と一緒に暮らそう」
『うん』
この日から、名前しか知らない彼女との二人暮らしが始まった。
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ポル(プロフ) - すごくおもしろいです！続きを楽しみにしています！ (2020年7月11日 16時) (
レス) id: e5a0f78b99 (このIDを非表示/違反報告)
未亜(プロフ) - ゆーうさん» ゆーうさん、コメントありがとうございます！すごく好き…嬉しいです^ ^！！書き上げられるよう頑張りますね！ (2020年7月1日 22時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
未亜(プロフ) - ちーさん» ちーさん、いつもありがとうございます！ (2020年7月1日 22時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーう(プロフ) - すごく好きなので最後まで応援してます！！ (2020年6月20日 0時) (レス) id: a3dde4f075 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - ゆっくりでもいいので頑張ってください！！ (2020年6月19日 6時) (レス) id: ef1b84f95d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未亜 | 作成日時：2020年4月28日 19時
