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「どうぞ」
『ありがとうございま…っ！』
スーパーで買い出し中、手を伸ばしたカレールーを先に手に取った男性に手渡される。
その相手を確認した私は思わず手にした商品を落としてしまった。
「元気そうですね、Aさん」
『宇都宮さん…』
「晩ご飯はカレーですか？彼も喜ぶでしょうね。カレー嫌いな男は居ませんから」
宇都宮さんの言葉に冷や汗が背筋を伝う。
真一郎のこと、どこまで調べたんだろう…。
『父の差し金ですか？』
「違いますよ。たまたまAさんをお見かけしたので」
『…宇都宮さんのお家、ここから遠いじゃないですか』
「さすがに今の言い訳は無理があったみたいですね。でも、長沼社長に言われて来たわけじゃありませんよ。私の独断で会いに来ました」
『父と上手くいってないんですね』
経営企画部室長の彼と私にはほとんど接点がない。
あるとすれば、彼が私を利用したい時。
父の側近でもある宇都宮さんは何かと父に無理難題を押し付けられていた。
「さすが察しがいいと言いたいところですが、今のところは問題ないですよ。これからどうなるかはわかりませんが」
『私が戻ることを条件に父と交渉するつもりですか。そんなに甘くないと思いますよ。あの人、私のことを探していないようですし』
「長沼社長はAさんが彼と暮らしていることもご存知ですよ」
『えっ』
「社長は何もしなくても貴女がいずれ自分から帰ってくると仰っていましたから」
『どういう意味ですか？』
「さぁ？私にはさっぱり」
『…』
「私が貴女というカードが必要になるのが先か、貴女が自分から戻ってくるのが先か、どちらが先になるでしょうね。必要であれば連絡してください。いつでもお迎えにあがりますよ」
彼はそう言って、私の手に名刺を渡して帰っていった。
家に帰ってきてからも宇都宮さんの言葉が頭から離れない。
お父さんは私が真一郎と暮らしていることを知っている。
知ってて何も言わないし、何もしてこない。
そんなこと今までならありえない。
私が自分から帰ってくる…？
どうしてそんなことが言えるの？
「A、ただいま」
『えっ…あ、おかえり』
帰ってきた真一郎が私を後ろから抱きしめる。
考え込みすぎて、彼が帰ってきたことにも気づけなかった私は時計を見て慌ててキッチンに立った。
『ごめんね。晩ご飯、今から作るから…』
「俺も手伝うから一緒にやろう」
『うん』
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ポル(プロフ) - すごくおもしろいです！続きを楽しみにしています！ (2020年7月11日 16時) (
レス) id: e5a0f78b99 (このIDを非表示/違反報告)
未亜(プロフ) - ゆーうさん» ゆーうさん、コメントありがとうございます！すごく好き…嬉しいです^ ^！！書き上げられるよう頑張りますね！ (2020年7月1日 22時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
未亜(プロフ) - ちーさん» ちーさん、いつもありがとうございます！ (2020年7月1日 22時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーう(プロフ) - すごく好きなので最後まで応援してます！！ (2020年6月20日 0時) (レス) id: a3dde4f075 (このIDを非表示/違反報告)
ちー - ゆっくりでもいいので頑張ってください！！ (2020年6月19日 6時) (レス) id: ef1b84f95d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未亜 | 作成日時：2020年4月28日 19時
