【ネタ】テンプレ夢主が作者の物語を叶えるまで

貴女の夢主にお・ま・か・せ!! ページ1

桃色の長い髪を高く2つに括る。赤く細いリボンを飾り、それからほんのり色付きのリップで唇に花を咲かせれば、母の理想の女子高生の出来上がりだ。
桃色の髪だが純日本人らしい。まぁこの世界の毛髪はカラフルなのでさして問題ではない。

どこかおかしい所がないかと改めて鏡を見れば、そこには白雪姫も裸足で逃げ出すような、この世のものとは思えない美少女の尊顔が映る。我ながら顔がいいな？

しかし、私は自覚が無いのだ。そういう設定なのだ。
ゆえに「美人だね」と言われても

「ふえぇっ!!？ そ、そんなことないよぉ(＞///＜.)」

と返さなくてはいけない。
はわわっと照れるまでがワンセット。嫌味なことこの上ないのだが、何も問題ない。なぜならそう返しても

照れてるのか、いじらしく可愛い奴だな。

という解釈になるのだ。恋は盲目とは言えどその思考回路やべぇよ……

おっといけない。戦闘初日から遅刻するのは頂けない。どうやら母は少女マンガのテンプレはお好きではない模様。遅刻イベントはまた後日起きるそうだ。

トントンとつま先を打ち、馴染まない新しいローファーを誤魔化して。気合いを入れる。

通学1つ取っても、気を引き締めなければならない。日本とは変態の巣窟である。痴漢野郎に始まりストーカーやら下着泥棒まで選り取りみどり。
日頃欲求を抑えている人も含めればびっくりするほど変態野郎はゴロゴロしているのである。

それは残念ながら私が身をもって証明してしまった。

痴漢の遭遇率がまぁエグい。この理想を詰め込まれた体型と整い過ぎた顔面を前にしたら仕方ない。内に滾る欲望が迸ったんだろうね。美しいとは罪である。自分の顔の良さは知ってるつもりだ。

触られないように常に壁か座席に背を向けるようにしたり、太もも丈のスパッツ履いてみたりと自衛はしているのだが、週5で遭遇する変態共にもう悟りを開いた。仕方ないね。

そして、道行く100人中100人が振り返りたくなる容姿をしている、それが私だ。つまりどちゃクソ目立つ。その結果通り魔が出たらかなりの確率でこちらに向かってくるし、人質にもなったことがある。命の危機多すぎて笑えない。

なまじか創作の世界故の物騒さである。
この世界の住民達よ、もう少し理性を強く持て

……何の話がしたかったんだったか。
だいぶ逸れたが、これは母の描く夢のまま男共を懐柔し逆ハーライフを実現させるべく奮闘する私の、母の知らない物語だ。

任せて、母が望み描く未来を掴み取ってみせる。

ＶＳ幼馴染 1回戦→

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