VS 原作主人公 1回戦 ページ5
「女子? うわホントだ。ごめんね、君」
癖のあるふわふわの髪を揺らして心配そうに私を伺うその姿はまるでゴールデンレトリバー。不覚にも愛らしいと思ってしまった。
胸の辺りで軽く手を握ってあざとく驚いていた私は反撃だとばかりに大粒のルビーの瞳を瞬かせたのち
「ううん、ふふっ。大丈夫、少しびっくりしちゃっただけだよ」
ゆるり、と柔く笑い返して見せた。
すると彼も私と同じように、しぱしぱとその瞳を瞬いて
「凄いな君、キラキラだ。君の目は宝石みたいだ」
無邪気に私の頬に手を寄せた。
待て待て待て待て。
待ちたまえ。
なぜそうなる。いや、私のこの瞳に見惚れるのはいいんだ。それは仕方ないにしても、まずは私の笑顔に照れろや。
「あれだな、君の目はルビーだ。少しピンクっぽい赤、母さんの誕生石だから見たことあるんだけど丁度その色だ。君の目は綺麗だね」
「は、はわっ。そんな、宝石だなんて初めて言ってもらったよ、ありがとう」
私はわたわたと照れたのちに、頬を書いて嬉しそうな笑みを浮かべた。
この天然タラシが。くそ。どこに初対面から瞳を宝石に例える高校生が居るんだ。口説き文句にしか聞こえないそれには、他意はないというのだから末恐ろしい。
流石ヒロイン女子マネに即落ち3コマ決めさせたただけある。罪深いとも言う。
『君の目は綺麗だね』
何より迂闊にもそれを喜んでしまったのが、否、的確にツボを褒められたのが悔しい。母が頭を悩ませ決めてくれた色なのだ、褒められて嬉しくない訳がなかった。
明るく快活元気で、真っ直ぐな情熱が気持ちのいい少年だ。純粋無邪気な圧倒的光属性。
そして類まれない天然タラシの才覚に恵まれている。どんな気難しい人も、先程の私のように的確にツボを突かれ気を許してしまうのだ。
作中でも練習場所の確保や女子マネ勧誘に一役買っている描写がある。別に男としてモテる訳では無いが、人としての魅力が天元突破しているのだ。
ある意味外見に極振りしている私とは対極にある存在とも言える。
「それなら貴方のはガーネットかな、とっても綺麗だよ」
悔しかったので、全く同じことをしてやった。
白く細い指でその頬に軽く触れ、それから眉を下げて笑い。反応も待たずに指定されたソファーへと向かった。
流石原作主人公、手強い。
母よ、暫し待ってくれ。必ずやあの天然タラシ野郎をデレッデレにしてやる。
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ひよこまめ(プロフ) - 菫青さん» アドバイスもありがとうございます。字数パンパンにいつもなってしまうので、つい改行を減らしてしまいがちです。ご指摘を頂いたので少々弄って見ました。また何かお気付きになりましたらご指摘くださいね。ありがとうございました! (2019年10月6日 22時) (レス) id: 5bf6918b1f (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - 菫青さん» コメントありがとうございます。賞賛の嵐に身が引き締まる思いです。ただひたすらに照れるとも言います。楽しんでもらえて嬉しいです。「面白い」と感想を頂けたので目標が叶いましたありがとうございます。折角楽しんで頂けたのでもう少し続けてみようかと思います。 (2019年10月6日 22時) (レス) id: 5bf6918b1f (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - ゆうゆさん» コメントありがとうございます。楽しんでもらえて冥利に尽きます。ネタだけのつもりでしたがもう少し続けてみようかと思います。ありがとうございました。 (2019年10月6日 21時) (レス) id: 5bf6918b1f (このIDを非表示/違反報告)
菫青(プロフ) - 作者様は見切り発車とのことで詰まることもあるでしょうが、前述した通りとても面白い内容ですので更新、頑張ってください!長文失礼しました (2019年10月6日 21時) (レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
菫青(プロフ) - 幅広い表現力と文章力が表面化した文章、流星のように突き抜けた性格、素晴らしいほどに皮肉った設定がすっと入って心をがっちり掴まれてしまいました。しかし読んでいて一つ思ったのですが、一部の文章がやや読みにくいので少々改行をしてみてはどうでしょうか? (2019年10月6日 21時) (レス) id: 62f559e9d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこまめ | 作成日時:2019年10月6日 10時