君らはもう少し私の心臓に優しくして欲しい (ページ6)

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糖度Lv5.名前 (ヒロアカ) ページ6

case1:轟焦凍

「Aちゃん、ありがとう!!助かったよ」

「困った時はお互い様ってね、気にしないで。出久くんの役に立てて良かった」

はにかむ友人を見送り、ヒーロー科を後にしようとした矢先。ふいに肩にそっと手を置かれる。何事かと身を固くすると

「……A」

「ぴゃっ」

唐突に耳元で名前を囁かれる。かかった吐息が、ピリっと全身を駆け巡る。じわりと右耳が熱を持つ。

「悪い。驚かせるつもりは無かったんだが」

目をしばたかせて固まる私に、轟くんも驚いたような顔をする。彼の顔を認識すれば再び耳が熱を上げ、思わず右耳を手で抑える。

「と轟くん、ど、どうしたの急に」

何とか声を絞り出せ問いかければ、不思議そうな顔をして

「……どうしたんだろうな」

私に聞かないで。

case2:爆豪勝己

黙々と本を読み進める爆豪くん。放課後に時計の秒針だけが響く。
とうに読み終わって(読み飛ばして)暇を持て余した私はふと

「勝己くん」

「……」

ボンっと彼の右手から煙が上がった。
固まる彼に、瞬時に理解する。

やっちまった。と。

眉間の深いシワが言わんとする彼の言葉を雄弁に語っているようで。自然と冷汗が額に滲んだ。危機を察知した私は

「ごめん爆豪くんっ、そんな怒るとは思わなくて」

慌ててわたわたと手と首を振り謝罪を述べた。すると、パシッと手首を捕まれ

「やめんなや。誰も嫌だとは言ってねぇだろうが｣

まっすぐに射抜くように見つめられ、心臓がとくんと脈打つ。そして気付けば

「か、勝己くん」

誘われるように私の口は君の名前を呼んでいた。

case3:物間寧人

「A起きて、そこ僕の席なんだけど」

すぅすぅと寝息を立てる彼女は僕の1つ後ろの席の級友。気付けばいつも視線の先にいる……違う、何故か目で追ってしまっている友人だ。

寝かせてやった方がいいのかもしれないけど、彼女が覆っているその机の中には弁当が入っている。それを取り出さない限りは僕も帰れない訳で。

少し身体を揺すって見れば、んんっ……と小さく呻いた。ならもう一押しだと

「ほら、A。起きないと何するかわかんないよ」

耳元に口を寄せて名前を呼んでやれば、彼女はビクッと震えた。寝惚け眼で僕を見つめる彼女に無性に加虐心を煽られ

「おはようA。気をつけなよ。次は忠告してやらないから｣

僕の言葉を飲み込み、先程の言葉を思い出したのか彼女はボっと頬を染めた。その事実に高揚感がこみ上げ……あぁクセになりそう。