天使の育て方。 (ページ2)

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幸せ２つ。ページ2

「塩キャラメル降ってこーい……なんてな」

小さくついノリで口にした願い。

次の瞬間。俺に向かって光が降ってきた。
豆粒程だったそれはどんどん近づいてくる。バレーボール程の大きさの星型の何かだとわかった頃にはもう目の前に迫りきていた。

「っ!?」

それは俺の頭上を通り過ぎ、開けていた窓から部屋に突撃した。柔らかいのかスーパーボールのように壁や床、天井をビリヤードのように跳ね回る。

あまりに非現実的なこの光景に俺の思考は一瞬完全停止し、そして考えることを放棄した。

こんなの考えるだけ無駄だ。

ぼーっと跳ね回るそれを眺めながら、幼い頃目にした初代キュアプリの1話目を思い出した。

目の前の光景にはものすごいデジャブを感じた。(知らない人は是非見てほしい。俺の気持ちがきっと良くわかる)しかも丁度俺は中学2年。

伝説の戦士になっちゃうのか。

そんな馬鹿なことに思考を回すうちに、跳ね回るそれのスピードは徐々に落ちていた。やがて布団にぽすっと受け止めらる。

「……落ち着いたか」

星(?)は暫く動かなかったので、試しに手を伸ばしてみる。瞬間、触れるか触れないかのギリギリ。

それはぽふんっと実にファンシーな音を立て、小さく煙を吐いた。

「うぅ。目が回りましたぁ。失敗、失敗……」

アニメキャラのような可愛らしいハイトーンボイスと共にモヤの中から現れたのは。

「はっ!!流れ星さん、乗せてくれてありがとうございました。お怪我はありませんか？」

背中に羽の生えた、テニスボール2つ分程の2.5頭身幼女。
それから、それに向かってむにゅむにゅと折れ曲がるゴム製のような黄色い星。

「それは良かった……お母さんは金星の方角であなたを待ってるみたいです｣

それを聞いた星は嬉しそうに小さく跳ねる。
幼女はそっと星に口付けると

「もう迷子になっちゃダメですよ」

星はむにゅむにゅと再度折れ曲がり、窓を飛び出して西の空へ飛んで行った。おそらくその方角に金星があるんだろう。

お前は帰らないのか。

「……宇宙人?」

むにゅっ

「あわわわっ違います～」

むにゅっ

「じゃあ何なの?勝手他人ん家入ってきて｣

むにゅっ

「い、痛いです。ごめんなさい……ちゃんとお話しますから、つつくのはもうご勘弁を…」

「あぁ、ごめん」

低反発枕のような弾力に楽しくなってきて、つい遊びすぎた。
それほど力は入れて無いはずなんだけど。

よく見ればつついていた頬だけが赤くなっていた。ごめん。