第20話 ページ21
＿＿＿＿＿＿＿え？
時が、止まったようだった。
何も聞こえない。目の前が真っ白で、身体が動かなくて、何よりも道枝先輩を、今までにないほど酷く遠い存在に感じる。
先生『お仕事、やっぱり忙しいの？卒業式とかも、どうしても来られないのかしら』
道「事務所と約束してしまったんです。実は今度、舞台をやらせてもらう約束で＿＿稽古と本番の日程的に無理かと」
先生『そう…それは皆寂しがるわね』
道「いえ、僕なんて学校も大した来てないですし、皆覚えてないですよ」
＿＿＿どうして。
こんなことに、なるんだろうか＿＿＿。
道「…じゃあそろそろ、時間なので」
先生『ええ、3年間ありがとう。応援してるわ』
応接室の中からがたがたと立ち上がる音が聞こえる。こちらに来る…でも、今会ったところで、私に何が言えるのだろう。
それでも、今会わなかったらもう2度と会えない＿そんな予感が何となくして、私は応接室の前から逃げることを止めた。
先生『…あら、どうしたの？』
扉を先に開いた先生が、私の存在に気がついて声をかける。
「あ、…道枝先輩に、会いに来ました」
私は先生の奥で軽く目を見開いている道枝先輩に向かって、そう言った。
先生『あらそう、道枝くんのお友達？』
嬉しそうに微笑んで言う先生と対照的に、道枝先輩は低い声で言った。
道「いえ＿＿知らない人です」
目の前が、凍りつく。
先生『あら、じゃあ道枝くんのファンかしら』
今度こそ身体が動かない。涙腺が熱い。
「…すみません、でした」
関わって、すみません。
LINEなんか聞いて、すみません。
全て、これ以上を望んだ私の結果だ。
会話をしてくれる気はなくとも、その言葉だけは、道枝先輩に伝えたかった。
それだけ言うと、私は走ってその場から立ち去る。
あぁ、本当は。
笑って、お仕事頑張ってくださいとか、
卒業おめでとうございますとか、
言いたかったのに。
身体に任せるまま走って着いた先は、あの日、道枝先輩がサボって泣いていた私を連れ出してくれた、あの屋上へ続く階段のところだ。
…また、あの日のように
連れ去ってはくれないのだろうか。
塞き止めていたものが全て出るように、私は嗚咽を漏らしながら泣いた。
授業が開始されても、喉が焼けるように痛くなっても、こすった目が腫れても、
涙が止まることはなかった。
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みみみみみ(プロフ) - 梅原裕さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます…😭😭読んでくださりありがとうございました！！ (2022年11月15日 20時) (
レス) id: 6d4045960a (このIDを非表示/違反報告)
梅原裕(プロフ) - 完結おめでとうございます✨最高すぎますよ！！！これは何回でも読める！！ (2022年11月15日 15時) (レス) @page29 id: 0d3bb14795 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» 良かったです😭非常に嬉しいお言葉ありがとうございます😊ぜひまた新しいものが出たら読んでいただけると嬉しいです💘 (2022年10月22日 22時) (レス) id: 9e81ad151e (このIDを非表示/違反報告)
みちなが信者 - 完結おめでとうございます🎉毎日楽しみに見させてもらってました😊また、新しい作品がでたら見させていただきます🙏素敵な作品ありがとうございました❗️ (2022年10月22日 18時) (レス) @page29 id: 9b1daafc8e (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» わああ今気づきました！教えてくださってありがとうございます！修正いたしました！😊 (2022年10月7日 19時) (レス) id: 26ad081759 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月28日 18時
