第12話 ページ13
「せ、先輩!付き合ってって、どこに_」
道枝先輩に手を引かれ階段を降りていく。先輩は何も言わずただ私の手を引き、裏玄関を出た。
その先にいた黒いバンに、息を飲む。
道「…乗って」
「い、いやいや!」
恐らくマネージャーの車なのだろうそのバンの後部座席のドアを開けて、道枝先輩は促す。
というかこれ、どういう状況!?混乱してる私に、道枝先輩はイラついたように私の身体を押し込む。
道「ほら早く」
強引に車に押し込まれる。
「あ、えっと…こんにちは」
運転席にいるマネージャーと思わしきがたいの良い男性は、私に驚きもせずただ少しだけ、お辞儀をしてきた。
私に続いて乗り込んだ道枝先輩は、「ほら、早くシートベルトして」と指を指した。言われたとおりシートベルトをしめながら、私は問い詰める。
「が、学校どうするんですか!?」
道「さぁ。もともとサボってたのは君やし」
「というか、付き合ってってどこに…」
道枝先輩はため息を吐いて私の方をじっと見る。
道「”何があったのか”_この質問に答えてくれるなら教えてあげる」
その真っ直ぐな瞳に捕らえられる。
「何でそんなに気にするんですか…私に何があったって、困らないじゃないですか」
膝の上に作った拳は小刻みに震え、気を許せばすぐにでも波だが溢れそうだった。
道「_さっき、クラスの奴らが噂してた。俺の悪口を言った奴らから俺を庇って、突き飛ばされた女の子がいるって。
__その頬の傷は、その時出来たもの?」
私はハッとして自身の頬に触れる。怪我をしたような痛みは無かったが、切れてしまったのだろうか。
必死に頬を撫でる私を見て、道枝先輩はため息をついた。
道「…嘘。頬の傷の話しは嘘。__やっぱり、君の事だった」
その時、ついに押さえきれなくなってしまった涙が拳にぽたりと落ちる。
最悪だ。よりによって先輩にばれて、さらに目の前で泣くなんて。
道「…馬鹿なん?泣くくらいなんやったら庇わなきゃ良かったのに。別に、そのくらい慣れてるし」
「無理、です。道枝先輩に影響がなくても、私が許せないんです」
道枝先輩は数秒黙ってから、私の手にあった壊れたスマホを奪い取った。
「あ…」
道「仕事の前に_これ、買いに行く。すみません、ちょっと携帯ショップ寄ってもらっていいですか」
道枝先輩は私に壊れたスマホを掲げ、マネージャーさんにそう伝えた。
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みみみみみ(プロフ) - 梅原裕さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます…😭😭読んでくださりありがとうございました!! (2022年11月15日 20時) (レス) id: 6d4045960a (このIDを非表示/違反報告)
梅原裕(プロフ) - 完結おめでとうございます✨最高すぎますよ!!!これは何回でも読める!! (2022年11月15日 15時) (レス) @page29 id: 0d3bb14795 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» 良かったです😭非常に嬉しいお言葉ありがとうございます😊ぜひまた新しいものが出たら読んでいただけると嬉しいです💘 (2022年10月22日 22時) (レス) id: 9e81ad151e (このIDを非表示/違反報告)
みちなが信者 - 完結おめでとうございます🎉毎日楽しみに見させてもらってました😊また、新しい作品がでたら見させていただきます🙏素敵な作品ありがとうございました❗️ (2022年10月22日 18時) (レス) @page29 id: 9b1daafc8e (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» わああ今気づきました!教えてくださってありがとうございます!修正いたしました!😊 (2022年10月7日 19時) (レス) id: 26ad081759 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月28日 18時