第25話 ページ26
東京駅の近く、という情報は貰えたけれど。
「どこにいるの…?」
もう日も短い時期で辺りは暗く、肌寒い。行き交う人々は皆コートのポケットに手を突っ込んで歩いている。
行き当たりばったりで来たって、会えることの方が少ないって分かっていたけれど、さすがに場所の指定が広すぎた。
とりあえず辺りを見て回ってみても、らしきような人影もスタッフもいない。もうかれこれこの辺を歩き回ってどのくらい経っただろうか。手がかじかんで、足の感覚がない。もう、道枝先輩はいないかもしれないというのに。
もう諦めかけたその時、街路樹についていてらしいイルミネーションが淡いオレンジにぱっと照らされて、辺りが明るくなる。
「…!」
そのオレンジに導かれるように、街路樹の下に見間違えるはずもない、探していた人のシルエットを見つけた。
帽子を被り、スマートフォン片手に歩いているものの、あの影は絶対に___。
「…っ先輩!」
私の叫びに、道枝先輩は驚いたように振り返る。
その彼の顔を見た瞬間、せきとめていたものが溢れるように涙が出てきてしまった。
会えた。ようやく会えた。
私の声に、反応してくれた。
いきなり泣き出す私に驚いた道枝先輩は、「あー…」と困ったように辺りを見回して言った。
道枝「とりあえずここら辺に人気のない公園あるから、そこ行こ」
優しげな道枝先輩の声にこくりと頷いた。
・
「…いきなり泣き出してしまって、すみません」
本当に近くて人気のなかった公園のベンチに、道枝先輩が買ってきてくれたホットココアで手を暖めながらぽつりと謝る。
道枝「…いや。それよりなんでここにおんの?」
「…神田先輩に、聞いたんです」
そう言えと、道枝先輩は少しだけ息を飲んだ。
「勝手に聞くことになってすみません。でも、もし道枝先輩が私のことを考えてくれた結果なのだとしたら、感謝と、…」
道枝「…感謝と?」
「…道枝先輩が考えてくれた結果だとしても、私はそれでも道枝先輩に関わりたいって、伝えたかったんです」
目の前に立っている、ようやく会えた道枝先輩を前に気持ちを抑えることなど無理だった。
「___好きです。好きなんです、道枝先輩の事」
道枝先輩は驚く様子もなく、ただ私を見ていた。
道枝「うん…そうなんだろうなと思って、それでも突き放す事が出来なかったのは俺やから」
ぼそっと言った道枝先輩の言葉の意味が良くわからなくて、「…え?」と聞き返す。
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みみみみみ(プロフ) - 梅原裕さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます…😭😭読んでくださりありがとうございました!! (2022年11月15日 20時) (レス) id: 6d4045960a (このIDを非表示/違反報告)
梅原裕(プロフ) - 完結おめでとうございます✨最高すぎますよ!!!これは何回でも読める!! (2022年11月15日 15時) (レス) @page29 id: 0d3bb14795 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» 良かったです😭非常に嬉しいお言葉ありがとうございます😊ぜひまた新しいものが出たら読んでいただけると嬉しいです💘 (2022年10月22日 22時) (レス) id: 9e81ad151e (このIDを非表示/違反報告)
みちなが信者 - 完結おめでとうございます🎉毎日楽しみに見させてもらってました😊また、新しい作品がでたら見させていただきます🙏素敵な作品ありがとうございました❗️ (2022年10月22日 18時) (レス) @page29 id: 9b1daafc8e (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» わああ今気づきました!教えてくださってありがとうございます!修正いたしました!😊 (2022年10月7日 19時) (レス) id: 26ad081759 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月28日 18時