どこぞの怪盗、毎晩来るけどなんなんですか？

色々終わった ページ12

「どうも、今宵も月が綺麗ですね。」




月を背後に、ベランダの柵にしゃがみこむようにしているキッド。
マントが風にはためき、その格好と顔といい、夜空の星とのマッチが良く、不覚にも見惚れた。



『えー…』



てかまじかよ。連続で来んのかよ。聞いてねえよそんな事。


部屋の中に暑さが籠り、ムシムシとするからと開けた窓が失敗だったと自分でも思った。

マンガが風に吹かれ、パラパラとページがめくられる。


そんなことを気にするほど、私に余裕は無い。



これ、強制的に話すしか無くなってるよね。



『…』



スタスタスタと窓に歩みを寄せる。


スッと窓を閉めようと手をのばすと、ガシッと掴まれた。



…嘘だろ。



「なにをしようとしていらっしゃるのですか？」



紳士的な笑顔で言ってきているが、すげえ怖い。
なんだよ怪盗キッド。オマエ紳士キャラ貫けよ。お暇(いとま)しろよ。

手を抜こうとグッと自分の方に引いても、グッと引っ張り返されるだけだった。


…泣きたい。




『…いえ、寒いので窓を閉めようかと』

「ならば私も入れてもらってもよろしいでしょうか？寒いので。」

『…』






墓穴ほったわ。

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