どこぞの怪盗、毎晩来るけどなんなんですか？

その不審者の名は ページ6

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『…あ゛〜〜〜〜目覚め悪(わり)ぃ…』





昨日の泥棒が結局なんだったのか、よく分からなかった。
というか夜遅かったし調べる気になれなかった。



いつもどおり朝メシを食って、家を出る。

母は仕事で朝早くに出ていく。
父は離婚してどっか行った。


いつもどおり呆然と学校へ歩みを進める。



「あ！A〜〜！！」



ドスンッと背中に衝撃がきて、背中が反ってくの字になった。


なんとか足を持ってきて体勢を戻し、振り返る。



『がはッ…な゛に…園子…』



鈴木園子。鈴木財閥の令嬢。金持ち。
私の数少ない友達の一人。


園子は目をキラキラとさせてこっちをみていた。
どうしたの、と問えば、「見て！！！」と凄い圧力でスマホの画面を押し付けられる。
スマホの光の眩しさに目を細めつつ画面を見る。

ニュースの記事で、内容は「億越えのピンクダイヤモンドの指輪が怪盗キッドに盗まれた」という。


『…怪盗…キッド？』


「そう！キッド様！！」



感嘆の声をあげると、両手を組んで頬の近くに寄せ、うっとりとした顔で語り始める園子。



「狙った宝石は必ず手に入れ、夜を飛び回るその姿は白い鳥のよう…女性の心さえも盗んでいってしまう甘いフェイスとマジックを持つ、紳士でキザなキッド様〜！！」



はぁん…♡と完全に自分の世界に突入した園子。



…ん？ちょっと待て



―――「私はただの怪盗ですよ。」



―――「貴方との出会いを記念し、この花を捧げます。」





『…ん？』




…あれ、もしかしてコイツ？

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