すれ違い片想い Watanabe side

22 ページ22

岩「翔太、何ぼーっとしてんの」



照がすごいイライラしてる。



岩「お前、気付いてただろ」



渡「……足がすくんで動けなかった。怖かった。


初めて…Aがいなくなるような気がして…」





毎日、当たり前のように俺の隣に居たから。




それが当たり前だらったから。




ずっとこれからもそれが当たり前だとどっかで信じてたから。




岩「……ほんと早くしないと遠く行っちゃうよ。」





頭じゃ分かってるけど…





心のどこかであいつは隣にいてくれるんじゃないかって期待してる。




そんなの淡い幻想なのに。






．







Aが教室に戻ってくることはなかった。




部活終わったら迎え行って一緒に帰ろ。




渡「照、先行ってるな」




岩「ん」





気づいたら学祭まで1ヶ月切ってて。


掃除なんか待ってないで練習しないと。





「あ、渡辺」



渡「桐山先生…なんすか？」




桐「俺はてっきりAは渡辺が運んでくると思ってたからびっくりやわぁ…



まぁいつもクールな目黒のあんな顔初めて見れたから


それはそれでおもしろかったけどな？」



あぁ、Aのことか。



この人、わざわざ傷口をえぐりにきたのか？







桐「渡辺に先輩から一言。







．







青春はタイミング」






片手をひらひら振って先生は保健室の方向に戻っていった。



先生の言葉の意味はまだよく分からなかった。

23→←21

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す