46 茨と解呪。2 ページ46
…
「ひ……ッ」
手の大きさを比べっこするみたいに待機する狗巻くんの手に、強制的に近づいてしまう。
「やだ、まって棘くん、やだ、だめ!」
──“A、ちゃ……なんで”
──“血が止まらない”
──“ごめんなさい”
──“この、化け物!”
「っいや、ごめんなさい、ごめ、」
否定の言葉を吐く癖に、容赦なく近づく手。普通の人なら難なくできるそれは私にとっては恐怖でしかなくて。
ボロボロ情けなくこぼれる涙を止めることすら出来ずにぎゅうっと目を瞑る。
──なんでこんなことするの、
刹那、ふわりと優しく温かい感触。
「……え、」
「すじこ、いくら! めんたいこ!」
だから言ったでしょ、大丈夫だよ!
……なんて言うように笑った彼は、私の指と手をからませてにぎにぎ、なんて確かめるように指先に力を入れた。
しばらく呆然とそれを見つめる。何が起きたのかわからなかった。
「……わたし、狗巻くんに、触ってる?」
「しゃけ!」
「痛く、ないの? やけど、火傷してるんじゃ……」
って離そうとすると、「おかか!」ってパって開いて見せる。ぽんぽん、なんて子供みたいに頭を撫でられて。
「わ、たし……っ、みんな、と、もっと、一緒に居ていい? 一緒に、訓練、とか……っ、しても、いい?」
「しゃけしゃけ! ツナマヨ!」
今度は安堵の涙がぶわりと溢れ出す。
私、泣いてばっかりだなぁなんてぼんやり思うけれど、止まりはしなかった。
「……よ゛、がっだぁ……」
「しゃけ!」
再びこぼれ出したそれに狗巻くんがギョッとする。
「高菜!? こ、こんぶ、おかか?!」
「狗巻くんに意地悪されたぁぁ」
「お、おかか……! すじこ……」
泣かないで、なんてボロボロこぼれ出した熱い雫を掬う彼は、困った顔をした後、ふわりと酷く優しく微笑んだ。
「……ツナマヨ」
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みみず2(プロフ) - なおこちらのコメントは後日削除させていただきますので、必要であればお控えくださいますようお願いしますm(_ _)m (2022年4月26日 6時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 途中でも読みたいので教えてください❗ (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 大丈夫です。 (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みみず2(プロフ) - みさにゃんさん» コメントありがとうございます。2作目の方が作品途中で更新停止してしまっていますがよろしいでしょうか? (2022年4月25日 2時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます❗ パスワードを教えていただきたいです。 (2022年4月24日 18時) (レス) @page48 id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみず2 | 作成日時:2021年2月23日 21時