茨の君に最上の呪いを【狗巻棘】

11 訓練 ページ11

…


寝ぼけ眼で受けた今週最後の午後の授業も終わって、明日は狗巻くんとパンダくんが任務なのだという。

｢そっかあ、頑張ってね｣

かくいう私は明日明後日は五条先生の時間が許す限り呪力関連の猛特訓である。

真希ちゃんは何をするのかと問えば、勉強だとか。偉いなあ、なんて言うとお前も大概だと言われてしまった。

やっぱり土日がお休みでも、寮なのでほとんど毎日会える。
ばいばい、なんてあっさりみんなと別れて部屋について、明日の準備をしてから眠った。



❁❁❁



｢それじゃあA、まずはあれから始めようね。その間に僕、仕事やってきちゃうから｣

どっさりと重たそうな音を立てて置かれた映画やら漫画やら小説やらの娯楽品と、呪力を感知するぬいぐるみ。この子を抱き抱えてひたすら呪力と感情を分別する作業が始まる。

これが中々Aは苦手だった。
殴られることは勝手に結界が弾き返すから痛くはないけれど、殴ってきたぬいぐるみのほうが先にダメになってしまいそうだと怯えながら取り組んでいる。

｢よし、行くよクロちゃん｣
勝手にその黒いぬいぐるみをクロと呼んでいるAは、その子を抱え直して映画を鑑賞し始めた。


｢ホントは恋愛ものがいいな。青春系とか可愛い猫とか〜｣
不満タラタラに見始めたのはアクション映画。ホラーは五条先生がいないと観れない。Aは物凄く小心者なのだ。

みんなみたいに、早く1人で任務に行きたい。ぬいぐるみを持つ手にきゅっと力が籠った。

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